研究概要 |
研究申請者は、薬物誘発性QT延長症候群の分子機序について、共同研究者の米国ユタ大学Sanguinetti教授らとともに世界に先駆けて独自の仮説を提唱している。本申請計画の2年間にわたる本研究の結果いくつかの新しい知見を得ることができた。具体的な成果としては、1)薬物結合部位として可能性の高いアミノ酸塩基を変異させたHERG遺伝子を数多く作成し、2)それらを利用していくつかの薬物について実際に薬物結合部位を想定し、3)HERGチャネルと薬物の相互作用に関してその分子機序をある程度解明した。実際に行ったのは、HERGチャネルのチャンネル内の内腔を形成するドメインS6とポア領域のアミノ酸を一つずつAlaに置換した変異遺伝子を作成し、それらをアフリカツメガエル卵母細胞に発現させて得たイオン電流に対する作用を検討した。methanesulfoanilide系第III群抗不整脈薬E-4031,Dofetilide, Sotalol non-methanesulfoanilide系第III群抗不整脈薬Amiodarone, Dronedarone, Nifekalant, Bepridilについて共通の薬物結合部位(F656)を明らかにし、日本循環器学会(2003),日本薬理学会年会(2004)にて発表した。その内容は現在投稿準備中である。
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