研究課題/領域番号 |
14370235
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
室原 豊明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90299503)
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研究分担者 |
近藤 隆久 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00303644)
池田 久雄 久留米大学, 医学部, 助教授 (50168134)
古森 公浩 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40225587)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2003年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2002年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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キーワード | 血管新生 / 血管発生 / 骨髄細胞 / 再生医療 / 虚血性心疾患 / 細胞治療 / 血管内皮細胞 / 血管内皮前駆細胞 |
研究概要 |
成人期の血管新生は、既に組織内に存在する成熟血管内皮細胞の増殖と遊走によるもののみであると考えられてきた(Angiogenesis)が、我々は成人末梢血中に血管内皮細胞に分化しうる未分な細胞(内皮前駆細胞)が存在することを報告してきた。内皮前駆細胞(EPC)は、血球系未分化幹細胞と起源を等しくすると考えられ、骨髄や臍帯血からも採取可能である。我々はこれまでに、ヒト臍帯血から内皮前駆細胞を得ることに成功し、さらにこれらの細胞を免疫抑制動物の虚血骨格筋内へ移植することにより、血管新生や側副血行路の発達が促されることを確認した。また成人においては、内皮前駆細胞は、造血臓器である骨髄に由来することが明らかにされている。我々は2000年より多施設共同研究として、重症閉塞性動脈硬化症・Buerger病患者に対する自己骨髄細胞移植による血管新生療法を開始しており良好な成績を得ている(TACT study group ; Lancet 2002)。 我々はさらに、動物研究基礎実験を主体に、臨床応用がより遂行しやすい、しかもより効果が期持されやすい改良型の細胞移植血管再生療法の開発をめざした。我々は、ヒト末梢血由来の内皮前駆細胞の移植前刺激による血管新生効果の増強が可能か否かを検討した。健常人の末梢血単核球から培養した内皮前駆細胞を2群に分け、一方を通常の酸素存在下、もう一方を低酸素下で培養した(低酸素刺激)。低酸素刺激内皮前駆細胞は、その遊走能・VEGF産生能・内皮分化度が正常酸素培養群に比べて有意に増強していることが明らかにされた。さらにこれらの細胞を分離し、免疫抑制動物の下肢虚血部にそれぞれ移植すると、低酸素刺激内皮前駆細胞群で、有意な血管新生作用の増強が見られた。以上より、低酸素暴露という比較的容易な処置で、移植細胞の機能増強が図れることが明らかにされた。この成果は2003年1月号のLaboratory Investigation誌に掲載された。さらに、細胞に機械的な刺激を与えた場合に、細胞機能が活性化されるか否かを検討した。これまでに京都大学の北らは、THP-1細胞にボルテックスを掛けると細胞の接着性が亢進することが示されている。骨末梢血単核球細胞にボルテックスを掛けて培養すると、内皮前駆細胞様の接着細胞の出現が増強された。さらにこの細胞の発現は、血球系幹細胞分化誘導因子であるG-CSFの投与により増強された。以上のように、移植前幹細胞の機能強化療法は、将来的にも臨床に応用できる可能性が示唆された。
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