配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2003年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2002年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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研究概要 |
近年、百日咳菌は細胞内寄生菌であることが明かとなり、その感染防御にはIgG抗体を中心とした液性免疫のみならず、細胞性免疫が重要な役割を担っていることが解明されてきた。そのため百日咳ワクチンの効果も、従来の感染防御抗原に対するガンマグロブリン抗体産生のみではなく、細胞性免疫を含んだより詳しい解析が必要とされている。 Millsらはマウスを用いた感染実験で、百日咳自然感染後にはリンパ球のTh1反応が起こり、主に細胞性免疫が惹起され治癒するが、全菌体ワクチンではTh1,Th2両方の反応が起き、液性抗体と細胞性免疫の両者で感染を防御する。しかし無菌体ワクチンは主にTh2反応を惹起し、抗体産生能は優れるものの、細胞性免疫を誘導できず、感染防御能も弱いと報告している。 そこで今回我々は、我が国で一般的に用いられている無菌体百日咳ワクチンを含む百日咳ジフテリア破傷風三種混合ワクチンを、筋注または経鼻接種し、産生される百日咳特異抗体を測定し、同時にこれらのワクチンにより感作されたリンパ球を百日咳抗原で刺激し、培養上清中に分泌される各種サイトカインをELISAまたはフローサイトメーターで測定した。その結果、筋注ではPTおよびFHAに対するIgG抗体が産生され、IgA抗体は認められなかったのに対し、経鼻接種ではIgG, IgA共に明らかな産生が認められた。また培養上清中には、IL-4,IL-5,IL-10の2型サイトカインの分泌も認められるものの、IFN-γ,TFN-α,IL-2の1型サイトカインが明らかに優位であり、Th1反応が示唆された。それにより細胞性免疫が惹起されていることは、抗原特異リンパ球幼弱化反応によっても確認された。
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