研究課題/領域番号 |
14370291
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐野 輝 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178800)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
2003年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2002年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
|
キーワード | 有棘赤血球舞踏病 / 神経変性 / 精神障害 / 有棘赤血球症 / 遺伝子多型 / 疾患変異 / 疾患モデルマウス / マウスCHAC遺伝子 / 有棘赤血球舞踏病モデルマウス / Ehime-欠失変異 |
研究概要 |
有棘赤血球舞踏病(chorea-acanthocytosis, CHAC)は、神経精神症状に加え有棘赤血球症を示す稀な常染色体劣性遺伝性神経変性疾患である。最近、我々は限局した地域のCHAC患者4症例3家系を対象としたポジショナルクローニングで病因遺伝子CHACを発見し、病因変異Ehime-欠失変異を同定した。今回我々は、ヒトにおいては、我々の同定したEhime-欠失変異(60番と61番Exonを含む6kbの欠失変異)をヘテロ接合性に持つ保因者の中に、精神症状を呈する場合があることから、CHAC遺伝子と精神障害との関連を検討した。CHAC遺伝子Exon 69には、GATのトリプレット繰り返し配列が存在するが、これがGAT繰り返し数に多型を示すことを明らかにした上で、上記Ehime-欠失変異と合わせて精神疾患のケースコントロール研究を行った。その結果、Ehime-欠失変異では気分障害患者では2名ヘテロ接合性に確認されたが、統計学的には有意ではなかった。GAT繰り返し多型では、痴呆で関連する傾向は見られたものの統計学的には有意ではなかった。また、マウスのCHAC-cDNAをクローニングし、マウスゲノム配列と比較の結果、エクソン-イントロン構造を決定した。続いて、上記のヒトにおける疾患変異エであるクソン60および61を欠失するEhime-欠失変異をもつ疾患モデルマウスをジーンターゲティングの手法を用いて作成し、解析を行った。その結果、変異ホモ接合体マウスでは、生後一年半を過ぎてから徐々に表現型が出現し、foot print testとrotarod解析およびopen field解析を用いた運動・行動解析では運動能力障害および自発運動量の低下を認めた。また末梢血には有棘赤血球症が確認され、赤血球脆弱化試験ではホモ接合体マウスが野生型マウスより有意に浸透圧負荷に対し溶血しやすかった。病理学的所見は線条体および中脳黒質でアポトーシスとグリオーシスを認め、神経細胞の脱落が観察された。これらはヒトでのCHACの所見と合致するものであり今回作成したtargeted CHACマウスは疾患モデルマウスとして妥当であると考えられた。
|