研究課題
基盤研究(B)
自己複製、ニッチ要求性といった組織幹細胞に共通して存在する普遍的特性は、共通した分子機構により維持されている可能性がある。そこで、ニッチとの相互作用において必須な分泌蛋白、細胞膜蛋白を、造血幹細胞、雄生殖幹細胞の2つのモデルシステムを用いて検索した。まず、雄生殖幹細胞を純化する目的で、生殖細胞特異的転写因子であるOct-4の発現調節領域の下流にGFPをつないだトランスジェニクマウスを用い、GFP陽性細胞を純化し、cDNAライブラリーを作成した。このライブラリーを膜蛋白分子を特異的に単離するシグナルシークエンス法に応用し、網羅的に膜蛋白を遺伝子単離した。さらに、単離した遺伝子を、分化型体細胞であるセルトリ細胞、マウス線維芽細胞に発現していないものに絞り込みを行った。その結果、分泌蛋白でWAP型セリンプロテアーゼインヒビター(SPI)に分類されるmHE-4、接着分子であるJAM-4に絞り込みがなされた。両分子とも、CD34陰性造血幹細胞で最も強く発現しており、CD34陽性化に伴い発現が減少し、前駆細胞レベルでは、発現が認められなかった。精巣において、mHE-4の発現を、抗体を用いて検証したところ、新生児期において細胞膜周囲に強く発現していた。JAM-4は、新生児期から約2週間の間においてのみ発現が見られ、成体においては発現が認められなかった。さらに、Tight junctionをつくる構成分子であるZO-1などの分子との発現と、完全に局在が重なることから、新生児期から始まるTight junctionの構築に積極的に関わっていることが示唆された。mHE-4の他臓器での発現は、成体においては、肺の分泌組織や肺胞上皮、腎臓の尿細管、小腸上皮において発現が免疫染色により確認された。SPIは、細菌感染など生体の防護機構に関わっていることが示唆されており、幹細胞以外においての機能が強く示唆された。JAM-4は、肝臓、腎臓において強く発現している。現在、この2つの遺伝子欠損マウスを作出しており、JAM-4は、キメラ作成まで終了している。今後、このノックアウトマウスを中心に、in vivoにおける機能解析を行って行く。
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