研究課題/領域番号 |
14370387
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
|
研究機関 | 秋田大学 (2003) 京都大学 (2002) |
研究代表者 |
山本 雄造 秋田大学, 医学部, 教授 (70281730)
|
研究分担者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
宮澤 秀彰 秋田大学, 医学部, 助手 (10323148)
佐藤 勤 秋田大学, 医学部, 講師 (90235367)
寺嶋 宏明 京都大学, 医学研究科, 助手 (40314215)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
2003年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2002年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
|
キーワード | 肝虚血再灌流障害 / ミルリノン / オルプリノン / PDEIII阻害剤 / NKH477 / PDTC / 肝保護 / 生体防御 / PDE / 肝阻血再灌流障害 / cAMP / HO-1 / cvclic AMP / protein kinase A / PDEIII inhibitor / 細胞内シグナル伝達 / 肝虚血再潅流障害 / adenylate cyclase stimulator / 肝微小環境 |
研究概要 |
肝組織中cAMP-PKA活性化による肝虚血再灌流障害抑制効果の検討においては、まずPDEIII阻害剤であるミルリノンの投与は肝組織中cAMPの分解を抑え、再灌流後の血清肝逸脱酵素値が有意に抑制された。ミルリノン群では肝虚血再灌流後の肝類洞における再灌流率の改善、白血球-内皮相互作用の抑制効果があった。別のPDEIII阻害剤であるオルプリノンとアデニレートシクラーゼ刺激剤(NKH477)の二剤についても検討を加えたが、両者ともに、肝虚血再灌流後の血清肝逸脱酵素値を有意に抑制した。臨床使用の可能性に進むために、これらの薬剤の必要投与量と血圧への影響、さらにオルプリノンとNKH477の併用効果に関して検討した。再灌流時のALTを例にとるとコントロール3752IU/1に対して、オルプリノン2gamma単独で1725IU/1と半減したが、血圧は100mmHgを下回る傾向にあった。NKH477投与では血圧の低下はオルプリノンに比べると比較的緩やかで0.2gammaの投与でも有意な低下はみられず、ALTは1615IU/1オルプリノン2gammaに匹敵する抑制が得られた。両者を併用した場合には1434IU/1であった。肝組織中のcAMPの濃度上昇にはオルプリノン2gammaの方がNKH4770.2gammaより有効であったが、最終的なALT抑制効果と血圧の変動からみるとNKH4770.2gammaの方が臨床には使いやすいと思われた。しかし、更なる検討が必要である。 ストレス応答の過程で重要な細胞内インフォメーション伝達物質であるNF-kBの活性化を抑制するとされるPDTCの効果を調べたところ、興味深いことにPDTCは肝細胞にHO-1を誘導し、虚血再灌流に際してCOの産生を促し、これによる肝類洞の著明な拡張を促し、PDE-III阻害剤と同様に保護効果を示した。PDEIII阻害剤では肝類洞での接着分子の動向に影響があったものの、類洞拡張は伴っておらず、同様の保護効果をもたらす薬理学的な細胞内インフォメーション伝達への介入法であってもそのシグナルの動きは異なるものであり、生物の侵襲に対する防御機構の複雑性と多様性を物語るものである。
|