研究課題/領域番号 |
14370388
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 傑 (2003) 京都大学, 医学研究科, 助手 (10362500)
山岡 義生 (2002) 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究分担者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
山本 雄造 秋田大学, 医学部, 教授 (70281730)
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 助手 (80359801)
寺嶋 宏明 京都大学, 医学研究科, 講師 (40314215)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
2003年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2002年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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キーワード | 肝切除 / 肝硬変 / 虚血再灌流障害 / 肝類洞壁細胞 / 肝類洞血流 / 分子シャペロン / molecular chaperon |
研究概要 |
我々はまずthioacetamide (TAA)という薬剤投与により、組織学的にラット硬変肝モデルを作製しえた。この硬変肝でcaveolin-1が過剰産生されていることも蛋白レベルで確認しえた。 次にHMG-CoA reductase inhibitorであるpravastatinを肝虚血再灌流障害前に投与し、障害の抑制を試みる実験を行った。まず正常肝での肝虚血再灌流障害に与えるpravastatinの効果を検討したが、予想に反しpravastatin前投与群のほうが対照群よりも障害が大きいという結果が得られた。正常肝と硬変肝との障害の違いも考慮し、TAA投与硬変肝モデルでも同様の実験を行ったが、pravastatin前投与群ではやや障害が抑制されている傾向があるものの有意な差ではなかった。これらの実験において、硬変肝での虚血再潅流障害時の血清transaminase値は正常肝の数値と比較し数分の一であり、硬変肝における虚血再潅流の機序は正常肝とは異なる可能性が示唆された。 その違いを解明する一助として、ラットの正常肝と硬変肝とでの遺伝子発現の差異を検討すべく、各々のモデルの肝組織からmRNAを抽出した後cDNAとし、両者の発現の差異をDNA arrayにて比較検討したところ、いくつかの細胞周期調節遺伝子やストレス蛋白質に転写亢進があることなどが確認された。これらの遺伝子の詳細な検討はまだであるが、今後の硬変肝における虚血再灌流障害抑制方法開発のターゲットとなりうると思われる。 pravastatinによる肝虚血再灌流障害抑制の試みについては期待した結果が得られなかったため、別の類洞壁細胞のmanupulation手段としてROCK/Rho kinase inhibitorであるY-27632の効果を検討したところ、正常肝虚血再灌流障害モデルおよびendotoxin shockモデルにおいて肝微小循環の改善効果および肝障害抑制効果を示した。さらに抗酸化財であるpyrrolidine dithiocarbamateが肝にheme-oxygenase-1を誘導して類洞を拡張すること、正常肝での肝虚血再灌流障害時に肝微小循環の改善効果および障害抑制効果も示された。これらの結果は類洞壁細胞のmanupulationによる肝障害抑制という我々のアプローチが正しいことを示唆していると考えられ、今後さらなる障害抑制方法を追求していきたい。
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