研究概要 |
1.横方向の観察が可能な血管内視鏡の開発 【対象と方法】食用ブタをもちいた.先端角可変式の血管内視鏡に改良を加えた.先端にウレタン製のバルーンを装着し,working channelからCO2を送気した.視野の確保,耐圧性,血栓症等の発生を検討した.【結果】本実験では150mmHgまでの圧に対してもバルーンの破損は来さなかった.満足すべき視野が得られた.バルーン拡張により心腔内・大動脈内の明らかな損傷を来さなかった.血栓症等の合併症は認められなかった. 2.カテーテル型吻合装置の開発:血管吻合器と内視鏡下治療用鉗子に改良を加え,カテーテル型吻合装置を考案した. 【対象と方法】食用ブタをもちいた.宿主血管とグラフトとステプラーで吻合することが可能なカテーテルを作成した.改良した血管視鏡の観察下に吻合を行った.【結果】80mmHg程の血圧ではずれたももあったが,改良した. 3.カテーテル型圧着装置の開発 【対象と方法】食用ブタをもちいた.血管内腔とステントグラフトを圧着固定するカテーテルを作成した.ステントを留置した後に,本装置で拡張した.【結果】拡張力は十分であったが,過剰な加圧により大動脈損傷を来した.比較的軽微な内膜損傷であった. 2.心腔内手術 【対象と方法】ブタ心臓を用いた。心房に切開を加え、超音波CCDカメラ下に鏡視下手術用鉗子および剪刀を用い心房中隔に5mm程度の穴を開け心房中隔欠損モデルを作製した。欠損部にカテーテル型縫合装置を用い、フェルト片を縫合した。【結果】モニター上では距離感の把握が困難であったが、全例予定部位に欠損モデルを作製でき、またフェルト片を縫合し得えた。カテーテル型縫合装置は把持力も十分であり、リークも認めなかった。 2.大血管手術 【対象と方法】ブタを用い全身麻酔下に開胸開腹した.ステントグラフトを末梢側の大動脈から挿入した.以下の各群を作成した.A群:X線透視下に左鎖骨下動脈直下にステントグラフトを留置.B群:バルーン付血管内視鏡補助下に左鎖骨下動脈直下にステントグラフトを留置.さらにB1群:ステントグラフト留置のみを施行.B2群:ステントグラフトを留置後、血管吻合用カテーテルを用い中枢側のみ内膜からグラフトと宿主血管を吻合.B3群:ステントグラフトを留置後、圧着を施行.を作成した.【結果】術直後に,大動脈に切開を加えA,B群間でステントグラフト留置の正確さについて検討した.左鎖骨下動脈から留置されたステントグラフトまでの距離(の誤差)は両群間で有意差はなかった.従来のX線透視使用の留置も正確ではあるが,内視鏡使用でも正確に留置しえ今後の応用が期待された.B2,3群の血管吻合用カテーテルを用いた郡では,ステープルをかけた部分に問題となるような内膜の損傷は認められなかった.また,遠隔期も問題はなかった.
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