研究分担者 |
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
久門 良明 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80127894)
大西 丘倫 愛媛大学, 医学部, 教授 (70233210)
秦 龍二 愛媛大学, 医学部, 助教授 (90258153)
満田 憲昭 愛媛大学, 医学部, 助教授 (10314329)
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研究概要 |
エリスロポエチン(EPO)は腎性貧血治療薬として広く用いられている糖タンパク質であるが、EPOの生理作用としてこれまで赤血球産生能のみが注目を浴びてきた。われわれはこれまでにEPOが造血促進のみなぢず、中枢神経系において予測もしなかった重要な神経細胞保護作用を示すことを、脳虚血モデル動物を用いて証明した(Prco. Natl. Acad. Sci. USA,95,463-4640,1998;Biochem. Biophys. Res. Commun.,253,26-32,1998)。さらに我々は、EPOが抗アポトーシス因子Bcl-X_Lの発現増強を介して神経細胞保護作用を示すことを明らかにした(J. Neurosci. Res.,67,795-803,2002)。一方、Campanaらは、EPOのアミノ酸配列のうちAB loopに存在する17-merペプチド(AEHCSLNENITVPDTKV)が、培養細胞(NS20Y, SK-N-MC cells)の突起伸長を促進し、その細胞死を抑止することを報告している(Int. J. Mol. Med.,1,235-241,1998)しかしながら前記のエリスロポエチン由来17-merペプチド(17-MP)が実際にin vivoの系でEPOと同様に虚血脳保護作用を示すかどうかはまったく明らかにされていない。 そこで、今年度の本研究では、スナネズミに3分間の前脳虚血を負荷した後に17-MPを20ng/日又は4ng/日の用量で脳室内投与し、その効果を脳虚血後の受動的回避学習実験ならびに海馬CA1領域神経細胞数計測により判定した。その結果、17-MPの投与は、ビークル(vehicle)投与例に比べ.て、有意に脳虚血後の受動的回避学習機能を改善し、海馬CA1領域における遅発性神経細胞死を抑止した。目下、培養神経細胞及びBIAコアシステムを用いて17-MPの作用機構を解析中である。
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