研究概要 |
1,神経筋接合部シュワン細胞におけるリゾフォスファチジン酸(LPA)受容体ファミリー遺伝子群の発現解析 ラツト坐骨神経の神経筋接合部および軸索周囲の各部位から複数の単一シュワン細胞を単離回収後、各細胞に由来するtotal RNAを抽出精製した.研究分担者・矢追により最近開発された単一細胞全cDNA増幅法により,先のRNAから各細胞由来全cDNA画分を調整した.これらcDNA画分を鋳型とする,シュワン細胞マーカーS-100β遺伝子特異的プライマーによるPCRを行い,これらcDNA画分が,各部位に局在するシュワン細胞に由来することを確認した.次に,LPA受容体ファミリーに属する既知遺伝子全8種各々に特異的なプライマーを用いて,先のcDNAを鋳型とするPCRを行ったその結果,既知のLPA受容体ファミリーのうち,IpA1とIpA2が両シュワン細胞において発現していること,更にIpA3とIpB1が神経筋接合部シュワン細胞特異的に発現していることが示唆された.そこで,ラットヒラメ筋切片を用いたin situ hybridizationにより,神経筋接合部シュワン細胞におけるIpA3とIpB1の発現を調べた結果,両受容体mRNAの発現は,軸索周囲シュワン細胞との比較において神経筋接合部シュワン細胞特異的であることが明らかとなった. さらに,神経筋接合部シュワン細胞で特異的に発現していることが確認されているHerpと一致して,IpA3とIpB1が発現していることを確認するため二重in situ hubridizationを行っている. 2,神経筋接合部シュワン細胞に発現する新規LPA受容体の探索 既知LPA受容体ファミリーの膜貫通領域アミノ酸配列におけるコンセンサス配列をもとにデイジェネレイート・プライマー混合物を設計し,これらのブライマーを用いたPCR反応を行りたが,現時点においては新規LPA受容体の同定には至っていない.
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