研究課題/領域番号 |
14370492
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
須加原 一博 琉球大学, 医学部, 教授 (20171126)
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研究分担者 |
大城 匡勝 琉球大学, 医学部附属病院, 助手 (00315483)
宮田 裕史 琉球大学, 医学部, 助手 (60315471)
徳嶺 譲芳 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (70274909)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2003年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
2002年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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キーワード | 急性肺障害 / 創傷治癒 / サイトカイン / 肺胞上皮細胞 / 細胞増殖因子 / アポトーシス / 分子生物学 / 骨髄幹細胞 / 急性肺傷害 |
研究概要 |
1.肺胞上皮細胞増殖因子による肺障害抑制の機序解明-これまでの研究成果から、(1)ケラチノサイト増殖因子(KGF)の経気道的投与により肺胞II型上皮細胞が特異的に増殖させ、肺表面活性物質・アポ蛋白質遺伝子発現を著明に増加させる、(2)KGFを前投与することでブレオマイシン肺線維症や塩酸肺障害を軽減できること、などが明らかになった。この機序解明のため、急性肺障害ラット肺で、脂質代謝に関与する転写因子C/EBPα、β、δなどの遺伝子発現を検索した。C/EBPδがある種の肺胞II型上皮細胞にのみ発現しており、肺胞II型上皮細胞にsubtypeが存在することが示唆された。C/EBPαとC/EBPδの発現が相補的であり、ブレオマイシン肺線維症ではC/EBPδが、エンドトキシン肺障害ではC/EBPαが強く発現し肺胞上皮細胞の増殖と線維化とに深く関連することが示唆された。2.転写因子C/EBPの肺サーファクタント・アポ蛋白質遺伝子の調節-C/EBPα欠損マウス肺とC/EBPβ欠損マウス肺における肺表面活性物質・アポ蛋白質の遺伝子発現動態を検索した。C/EBPα欠損マウスは、生後すぐ呼吸不全で死亡する。この肺では、SP-A, SP-BとSP-Cの遺伝子の過剰発現がみられ、C/EBPαが肺サーファクタント・アポ蛋白質発現を抑制的に調節していた。肺胞II型上皮細胞に特異的なSP-C遺伝子上で、10個のC/EBP結合部位が推定され、現在この部位の機能的な役割について研究を進めている。3.先天性横隔膜ヘルニア(CDH)の肺低形成に対する細胞増殖因子の肺形成促進-薬剤誘発CDHにvitamin AやKGFを投与し、CDHの発生頻度の抑制と肺形成促進効果を証明した。CDHの発生頻度と肺形成度には関連がなかった。現在その機序解明を進めている。4.骨髄幹細胞からのlung stem cellsの分離と病変修復への応用-GFPラットに5-FUを投与し、骨髄を刺激し、骨髄細胞を採取。培養し血球成分を除いた骨髄幹細胞を静脈投与し、肺胞への生着度を検索。ブレオマイシン肺傷害への生着度と比較検討し、傷害肺への生着が高いことがわかった。さらに、SP-A抗体による染色を行うと、血管から肺組織へ遊走した骨髄細胞の中に、SP-A抗体に染色される細胞があり、肺胞II型上皮細胞に分化していると考えられた。現在これらがKGFに反応するか検索中。反応する場合は、病変修復作用があるか検索を計画している。特に、培養細胞を気管内投与し、骨髄細胞を血管内投与することで、修復促進できるものと期待される。5.KGFの組織修復機能の解明-この研究の一つとして、一過性の脳・脊髄虚血障害に予防効果があるか検索し、KGF mRNAは、脳組織の皮質、海馬や扁桃核に強く発現していた。KGFを持続的に脳脊髄液中に投与することにより、一過性脳虚血障害による海馬CA1領域の遅発性神経細胞死を抑制した。脊髄虚血については、現在検索中である。
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