研究分担者 |
南場 研一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70333599)
吉田 和彦 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90281807)
田川 義継 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40109426)
横井 匡彦 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20291677)
小竹 聡 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (00186694)
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研究概要 |
アデノウイルス4型(AdV-4)は咽頭以外に結膜にも炎症を起こすウイルスとして知られている.2001年,札幌においてAdV-4による流行性結膜炎(EC)の院内感染が発生した.この院内感染株の特徴を明らかにするため,これまでに分離されたAdV-4と比較し,遺伝学的解析を行った.1984〜2001年の札幌市のEC患者及び,2001年の院内感染より分離され中和試験によりAdV-4と同定された36株を用いた.その結果, 1)分離株のHexon領域956bp増幅産物の制限酵素切断パターンをAdV-1〜51標準株の切断パターンと比較した結果,Hae IIIとKpn Iの切断パターシはAdV-4pと一致したが,EcoT14 I,Hinf I,Mbo I及び,Cfr 13 Iの切断パターンは51標準株のどれとも一致しなかった. 2)ウイルスDNAの制限酵素切断パターンをAdV-4pおよび,既知のAdV-4変異株と比較した結果,1984〜2001年のEC患者からの分離株の切断パターンは,Wadellらの示すAdV-4aの切断パターンと一致した.一方,2001年のECによる院内感染患者の分離株はEco RI,Xho Iの切断パターンはAdV-4aの切断パターンと一致したが,Bam HI,Sma IではAdV-4pおよび,既知のAdV-4変異株と異なる切断パターンを示した. 3)分離株および,標準株のHexonとFiber全領域の塩基配列を解析した結果,分離株のHexon全領域の塩基配列は各年代別の分離株間で一致したが,Fiber領域の塩基配列では院内感染株は他の臨床分離株と異なる系統であった. 以上の結果より,1984〜2001年の間にEC患者から分離されたAdV-4分離株は,AdV-4aと同定された,一方、2001年の院内感染の患者より分離されたAdV-4分離株は,AdV-4pおよび既知の,AdV-4変異株と異なる新しいAdV-4変異株であることが明らかとなった.
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