研究概要 |
1.PAP-1のsplicing因子としての機能とRP9変異 PAP-1は癌遺伝子産物Pim-1の結合タンパク質として本研究室で単離・同定した新規タンパク質である。また、そのアミノ酸変異は網膜性色素変性症RP9の原因であると報告されている。PAP-1の機能解析のためにPAP-1結合タンパク質をスクリーニングしたところ、splicing因子SC35,U2AF35が同定され、これらは核内でドット状に共局在することが判明した。In vivo,in vitro splicing assayを行なったところPAP-1はそのリン酸化状態に依存してAd2 Ela geneのスプライシングパターシを変更させることからsplicing因子であることが明かとなった。この結果はin vitro再構成系で更に確認された。RP9患者に見られる2種類のPAP-1変異の内、D170G変異PAP-1は野生型に比較してリン酸化の程度が低く、かつsplicing因子としての機能を失っていた。以上より,PAP-1は網膜で発現する遺伝子のsplicing調節因子として機能し、RP9患者では正常なsplicingが起きないために異常なタンパク質が産生されることが病因と考えられた。 2.PAP-1結合タンパク質PAPA-1 PAP-1結合タンパク質として単離・同定された新規タンパク質PAPA-1は核小体に存在し、Pim-1-PAP-1機能を調節し、細胞周期を負に制御することが明らかとなった。更に,PAPA-1結合因子としてc-Myc結合タンパク質であるMiz-1を同定した。更に、PAPA-1も直接c-Mycに結合することが判明し、3者は拮抗的にc-MyCに結合してc-Myc機能調節を行っていることが判明した。事実、PAPA-1はc-Mycを正に、Miz-1はc-Mycの転写能を負に制御していた。 3.PAP-1ノックアウトマウスの作成 PAP-1の固体レベルでの機能解析を目的としてPAP-1ノックアウトマウスの作成を行なっている。現在までにマウスPAP-1ゲノム遺伝子単離,ターゲットベクターを作成,組替ES細胞のスクリーニングが完了した。にも結合した。以上より、AMY-1のBIG2/BIG1複合体形成によるゴルジ体での機能が示唆された。
|