研究課題
基盤研究(B)
炎症反応刺激によるタンパク質のニトロ化の関与を解明するため、培養細胞系を用いて、どのようなタンパク質がニトロ化反応を受けるかを検討した。マクロファージ系のRAW267に炎症刺激を与えると、PPARγ等のステロイドホルモン受容体ファミリータンパク質がニトロ化されること、ならびに、ニトロ化によりリガンド依存性に核へ移行し、転写因子として機能することが抑制されていることが明らかとなった。さらに、各種炎症モデル動物等における変化を検討したところ、関節炎モデルや腸炎モデル動物、さらに、ヒトの肝炎組織においてもこれら受容体がニトロ化されて、受容体機能低下が炎症反応制御に関与していることが確認された。一方、炎症に伴う各種タンパク質のニトロ化は細胞死にも繋がっており、培養神経細胞(SH-SY5Y)においては、バナジン酸がニトロ化刺激による細胞死を抑制すること、また、抗炎症薬の一部は神経幹細胞の増殖を抑制して細胞死を誘導すること、さらに、この細胞死の最終段階と考えられるカスパーゼの活性化メカニズムにおいてカルシウム結合能を持ったタンパク質が関与することを明らかにした。従って、リン酸化・脱リン酸化による細胞増殖・分化・生存シグナル系と、ニトロ化・脱ニトロ化による機能制御機構の相互干渉により、細胞死が認められる可能性が考えられた。さらに、炎症反応時には各種情報伝達系のタンパク質がニトロ化されて機能できない状態になっていることから、その機能を回復させる系が存在する可能性を検索したところ、特定のニトロ化アミノ酸配列に反応する酵素様の物質を同定したが、精査すると、一種の分解酵素である可能性が高まった。以上より、当初目的としたヒト歯肉組織での解析は、炎症歯肉組織の採取が困難であるために、検討できなかったが、炎症時にみられるタンパク質のニトロ化が炎症反応の進展制御に大きく関与しており、これを制御することが炎症制御に繋がることが明確となった。
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