研究課題/領域番号 |
14370598
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
畑 隆一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (10014276)
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研究分担者 |
加藤 靖正 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (50214408)
居作 和人 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (90257296)
古江 美保 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (80257310)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2003年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
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キーワード | コラーゲン / 骨芽細胞分化 / 活性持続型ビタミンC / 活性型ビタミンD_3 / ヒト骨芽細胞 / MG63細胞 / 活性持続性ビタミンC |
研究概要 |
[目的]骨の有機物の90%を占めるI型コラーゲンは骨の骨格として必須であるばかりでなく、骨を形成する骨芽細胞の分化にも重要であることがマウスの骨芽細胞系を用いた研究、およびI型コラーゲン遺伝子に異常をもつマウスの解析により明らかにされてきた。また、活性型ビタミンD_3(VD_3)はカルシウム代謝調節ホルモンであるばかりでなく、I型コラーゲンの合成を制御することが報告されている。一方、ヒトとマウスではI型コラーゲンの代謝制御機構の違い、すなわち、VD_3はマウス骨芽細胞ではI型コラーゲンの発現を抑制し、ヒトの骨芽細胞ではI型コラーゲンの発現を促進することが示唆されていたので、本研究ではヒトの骨形成の制御機構を明らかにするために、種々のヒト骨芽細胞をもちいて、ヒトI型コラーゲンの合成制御およびコラーゲンによる骨芽細胞分化制御について検討した。 [方法]細胞はウシ胎児血清を含むダルベッコ培地を用いて培養した(対照)。実験群にはVD_3を添加し、経時的に細胞数、分化指標としてアルカリホスファターゼ(ALP)活性、コラーゲン合成活性の測定、またRT-PCR法、ノーザンブロット法によるmRNAレベルの測定を行った。 [結果]VD_3を添加すると対照と比較してALP活性、コラーゲン合成活性、I型コラーゲン合成は有意に上昇した。一方、VD_3添加群にコラーゲン合成阻害剤を共存させるとALP活性の上昇は阻害され、逆にI型コラーゲン被覆処理した培養皿を用いることにより、ALP活性は有意に上昇した。また、VD_3添加によって骨芽細胞分化に必須な転写因子であるOsterix (OSX)、Cbfa1、ならびにOsteocalcin、COL1A1のmRNAレベルは上昇した。また、同様な結果はMG-63細胞だけでなく、正常ヒト骨芽細胞、ヒト骨髄由来幹細胞(hBMSC)でも確認された。さらにMG-63細胞にOSXを強制発現させたところ、COL1A1、ALP遺伝子の発現が上昇し、一方、Cbfa遺伝子の発現は低下した。 [結論]ヒトにおいて、VD_3は骨芽細胞分化に関連する転写因子やI型コラーゲンの遺伝子発現を促進することにより、ヒト骨芽細胞の細胞増殖と分化を制御する機構が存在することが明らかにされた。またこの結果はヒトにおいてVD_3は骨芽細胞のI型コラーゲン合成を促進させることによって骨の成熟を促進し、骨粗懸症患者の骨折のリスクを低下させている可能性が示された。
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