配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
2004年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2002年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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研究概要 |
本研究課題では,ハイドロキシアパタイト(HAp)を真空環境下で熱処理することにより試作したHAp/可溶性リン酸カルシウム(HAp/SCaP)複合材料の溶解性について調べた後,骨芽細胞様細胞MC3T3-E1を用いたin vitro系の実験により,本複合材料が骨芽細胞の付着,増殖,分化および石灰化に及ぼす影響について検討した.さらに,HAp/SCaP複合材料をビーグル犬の抜歯窩に埋入してin vivoでの溶解性と生体親和性を評価し,以下のような結論を得た. 1.酸性あるいは中性いずれの環境下でもHAp/SCaP複合材料からCaの溶出が認められ,浸漬初期における溶出濃度は,熱処理時間が長いほど高かった.2.HAp/SCaP複合材料上では,MC3T3-E1細胞の良好な付着と増殖が観察された.また,培地への浸漬により,可溶性成分の溶解が生じて表面の粗造化が進んでいた.3.HAp/SCaP複合材料からの溶出液は,MC3T3-E1細胞のアルカリフォスファターゼ活性とtype I collagen発現を増強し,さらに石灰化を促進させた.4.熱処理を施していないHApの場合は,抜歯窩に埋入後3ヵ月経過しても骨様組織の侵入が表層にとどまっていたのに対し,HAp/SCaP複合材料では,試料表面から吸収が生じ,試料体の深部まで骨様組織が侵入していた. 以上の結果より,試作HAp/SCaP複合材料は溶解性に優れ,HApと比較して骨新生に有利であることが明らかとなった.今回試作した,既存のHApを熱処理により改質して作製するHAp/SCaP複合材料は,欠損部の形態に応じた調整が可能であり,歯根尖切除法などの歯内外科処置において有益な材料となる可能性が示唆された.
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