研究課題/領域番号 |
14370654
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (20162802)
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研究分担者 |
大廣 洋一 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40301915)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50301891)
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
安田 元昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (90239765)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2003年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2002年度: 10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
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キーワード | 口腔がん / 細胞不死化 / 浸潤転移 / タンパク相互作用 / 遺伝子治療 / Etsがん遺伝子 / E1AF / MMP / TIMP / 口腔扁平上皮がん / 浸潤 / 転移 |
研究概要 |
腫瘍の発生には細胞の不死化・細胞死の抑制が重要な役割を演じている。Ewing肉腫で高率に生じているEWS遺伝子とETSファミリー遺伝子の転座に着目し、EWS/ETSキメラ遺伝子産物の役割を検討したところ、EWS/ETSは細胞不死化に関与するテロメラーゼの触媒酵素hTERTを活性化したが、この際(本来転写因子だったEWS/ETSが転写のco-factorとして働くことが明らかになった。Adenovirusの新規がん遺伝子であるE4orf6はp53,p51,p73の全てのp53ファミリーの機能を抑制し、細胞がん化に働くことが示されているが、p53の欠損した細胞株にE4orf6を遺伝子導入した際にも細胞死の抑制が生じ、E4orf6はアポトーシス誘導因子であるBH3 only protein、BNIP3を直接ターゲットとしてその細胞内局在を変化させ、細胞死を抑制することが明らかになった。 がんの悪性度はがん細胞の浸潤・転移活性の有無によるところが大きい。我々はetsがん遺伝子群転写因子E1AFをクローニングし、E1AFがMMP-1,-3,-9の転写を亢進することで口腔がんの悪性度と関連していることを報告してきた。E1AFはMMP-9と同様のtypeIV collagenaseであるMMP-2の直接の転写亢進はしめさなかったが、今回の検索でMT1-MMPの転写を亢進することでMMP-2の活性化を導くことが明らかになった。口腔がんはリンパ行性に転移することが多く、リンパ管の増殖因子であるVEGF-Cの発現をreal-time RT-PCRで検索したところ、口腔がんでのVEGF-Cの発現と転移には有意の相関関係が認められた。 腫瘍組織は恒常的に低酸素状態に曝されているにも関わらず、細胞死は抑制され増殖を続ける。我々は、低酸素で誘導される転写因子HIF-1に着目し、口腔がんでの発現について検索した。その結果、HIF-1aを高発現している口腔がんでは転移形質を含めた悪性度が有意に高いことが示された。さらに、HIF-1aのdominant negative mutantを遺伝子導入することで膵臓がんでの腫瘍原性を抑制することを明らかにした。 このように、口腔がんでも腫瘍発生・悪性進展化に関与する遺伝子/遺伝子産物を検索することで、腫瘍のもつ形質を把握でき、さらにこれらをターゲットにした遺伝子治療も可能になるものと思われた。
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