研究課題/領域番号 |
14370676
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
|
研究機関 | 高知大学(医学部) |
研究代表者 |
尾崎 登喜雄 高知大学, 医学部, 教授 (70031995)
|
研究分担者 |
奥 尚久 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (20363286)
植田 栄作 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (10203431)
鎌谷 宇明 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (00315003)
笹部 衣里 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (40363288)
山本 哲也 高知医科大学, 医学部, 助教授 (00200824)
木村 剛 高知医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10294836)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2003年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2002年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
|
キーワード | 口腔癌 / 浸潤 / 活性酸素 / Mn-SOD / タイトジャンクション / オクルジン / クラウジン / β-カテニン / 活性酵素 |
研究概要 |
A)口腔癌に対し、抗癌剤(5-FU、PEP)、放射線、ならびに、OK-432およびLAK細胞からなる免疫療法を施行するとともに、同療法の治療効果ならびにリンパ節転移と関連する因子について検討した。 B)頸部転移リンパ節より分離した株化口腔扁平上皮癌(OSC)細胞を用い、アポトーシスを制御する因子について検討した。 A-1)cDNAマイクロアレイ解析の結果、化学・放射線・免疫療法の臨床的効果と関連が認められた遺伝子としてMFG-E8(Milk fat globular-EGF-factor 8)が、リンパ節転移と関連が認められた遺伝子としてCOMT(Catechol-O-methyltransferase)およびC-CAM1(Carcinoembryonic antigen-related celladhesion molecule1)が明らかとなった。すなわち、MFG-E8の発現が劣っている腫瘍は化学・放射線・免疫療法に抵抗性であり、COMTの発現が強く、C-CAM1の発現が弱い腫瘍はリンパ節転移を来たしにくいことが明らかとなった。 B-1)In vitroにおけるOSC細胞の抗癌剤や放射線に対する感受性は、癌細胞の活性酸素消去能、特にMn-SOD活性と関連していた。さらに、抗癌剤や放射線で処理したOSC細胞においては、細胞内活性酸素レベルが上昇するとともにBcl-2ファミリー蛋白のリン酸化、ならびに、Baxのユビキチン化の低下およびBcl-2のユビキチン化の上昇が生じ、アポトーシスが誘導されたが、これらの変化はMn-SODのアンチセンスの導入あるいは抗酸化剤の前処理により抑制された。 B-2)ビ慢性浸潤を呈する癌細胞では、Tight junctionの構成成分であるE-cadherinの発現は弱く、逆に、Adherens junctionの構成成分であるClaudin 1の発現は亢進していた。さらに、OSC細胞におけるE-cadherinの発現は、化学・放射線治療に対する感受性と負に相関していた。 B-3)OSC細胞におけるHIF-1αの発現は、低酸素処理(1%酸素、12時間)のみならず、抗癌剤やγ線処理によっても亢進した。癌細胞における低酸素誘導因子(HIF-1α)の発現程度と抗癌剤やγ線に対する感受性との間には負の相関が認められた。さらには、siRNAによりHIF-1αの発現を抑制すると、OSC細胞の抗癌剤やγ線に対する感受性が増強した。 以上より、癌細胞のMFG-E8の発現程度、活性酸素消去能、E-cadherinおよびClaudin1の発現パターン、および、HIF-1αの発現程度は、癌細胞の化学・放射線・免疫療法に対する抵抗性と関連しており、Mn-SODあるいはHIF-1αのアンチセンス導入による活性酸素消去能およびHIF-1α発現の抑制は癌治療の1つの戦略になりうると考えられた。さらに、癌細胞におけるCOMTおよびC-CAM1の発現パターンはリンパ節転移の予測因子となりうることが明らかとなった。
|