研究概要 |
研究成果をチアゾール関連とチアジアゾール関連に分類して要約する。チアゾール関連:2-(フランあるいはチオヘン-2-イル)-1,3-チアゾール誘導体の各々異なる分子内非結合性S…O(フラン)あるいはN…S(チオヘン)相互作用をX線結晶構造解析により証明した。ホタルの発光物質ルシフェリンのモデル化合物、ならびに新規な3種のモノ-・ビ-・トリチアゾール誘導体を合成し、X線結晶構造解析にて分子内非結合性S…N相互作用を明らかにした。さらに、そのビチアゾールモデル化合物を用いたDFT計算に基づく各種回転異性体構造の相対エネルギーを比較して、分子内非結合性S…N相互作用を示した結晶構造と同様の回転異性体が最安定であることを証明した。3種のモノ-・ビ-・トリチアゾール誘導体の中でトリチアゾール誘導体のみが各種ヒト腫瘍細胞に対して抗腫瘍活性を示すことを明らかにした。新規な経口カルバペネム抗生物質のペンダント分子メルカプトアゼチジニルチアゾリンの合成をアザビシクロブタンを活用して達成した。微小胃癌診断薬として期待される独自に合成開発したアシルチアゾリジンチオン誘導体ICG-ATTの赤外蛍光抗体標識試薬としての有用性を明らかにした。2-オルトハロ置換フェニル-1,3-チアゾール誘導体における分子内非結合性S…X(X=F, Cl, Br, I)相互作用を世界に先駆けてX線結晶構造解析やDFT計算を駆使して解明した。チアジアゾール関連:炭酸脱水酵素I、II阻害剤の利尿薬アセタゾラミド及び軟骨炎症関連酵素ストロメリシン阻害剤チアジアゾリンチオン誘導体について、分子内非結合性S…O相互作用を有する二量体結晶構造ならびにそれらの最安定構造とをX線結晶構造解析及びDFT計算によって解明した。各種チアジアゾリンチオン誘導体の分子内非結合性S…O相互作用の存在をストロメリシン複合体結晶構造でも明らかにした。
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