研究課題
基盤研究(B)
基底膜の主役的存在であるラミニン由来の活性ペプチドの同定と、それらが器官発生、神経再生、創傷治癒などの高次生命現象に及ぼす役割を解明し、細胞特異的に働く活性ペプチドを医薬分野などに応用するための基盤づくりを目的に研究を行った。ラミニン-1分子の細胞接着活性部位の情報をもとに他のラミニンアイソフォーム(ラミニン-2からラミニン-15)の相同部位の組換えタンパクと合成ペプチドを作成し生物活性の測定を行った。まず、ラミニンの生物活性に最も重要な働きをしているラミニンα鎖のC末端部分のGドメインの生理学的な意味を解明するため、10種類の組換えタンパクとそのアミノ酸配列を網羅する合成ペプチド(約1000種類)を作成し、細胞接着活性の測定やそのレセプターの同定を行ったところ、細胞接着だけでなく神経突起伸長や細胞遊走を促進する8種類の活性ペプチドを同定することができた。次に、ラミニンα3鎖とα4鎖のGドメインのC末端部分LG4モジュールがプロテオグリカンであるシンデカンを介して細胞に対し作用することがわかり、その活性部位のアミノ酸配列を決定した。また、ラミニンα3鎖Gドメイン由来の活性ペプチドであるA3G756はシンデカンをレセプターとし、p38、ERKなどのMAPキナーゼ経路を介してMMP-1の発現を誘導することがわかった。さらに、ラミニンα1鎖のこの相同部位が、インテグリンに作用することも明らかにすることができた。これらの結果はラミニンの鎖特異的な活性を示すもので、ラミニンの細胞(あるいは組織)特異的な作用の解明につながるものである。これらの活性アミノ酸配列がラミニン分子のループ部位に存在することが示唆さえているため、ループ構造をミミックした環状ペプチドを作成したところ、鎖状のものに比べ遙かに強くシンデカンやインテグリンなどのレセプターに結合することがわかった。
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