研究課題/領域番号 |
14370745
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井出 利憲 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60012746)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2003年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2002年度: 9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
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キーワード | テロメア / テロメラーゼ / プロテオーム解析 / 遺伝子発現 / 線維芽細胞 / 繊維芽細胞 / 乳腺上皮細胞 / プロテオーム / ウイルスベクター |
研究概要 |
本研究は、テロメラーゼの持つ機能・役割が、従来考えられていたように、テロメア長を維持して細胞の有限分裂寿命性を解消し、無限分裂能を付与することに限られるのではなく、他の重要な働きがある可能性について解析したものである。ひとつは、いわゆるカルチャーショックによってテロメア短縮以前に増殖停止するヒト体細胞の多くが、SV40T抗原導入によって増殖を維持できるように、テロメラーゼ遺伝子導入によっても増殖を維持することである。テロメラーゼを導入した細胞は、増殖誘導に有利な遺伝子を発現するか否かについてプロテオーム解析し、テロメラーゼ遺伝子導入によって発現量が変化する多くのタンパク質スポットを検出し、一部についてはタンパク質を同定した。これらのタンパク質が増殖誘導に有利な機能を果たしているかの検証は、今後の課題である。また、テロメラーゼ遺伝子を導入した細胞は、さらに外来遺伝子を組み込んで安定な導入株を得る頻度が極めて低いことを複数のベクター導入実験によって明らかにしたこと、テロメラーゼ遺伝子を導入したウエルナー患者線維芽細胞は、親株に比べて染色体異常出現頻度が著しく低いことを見いだしたこと、その他テロメラーゼ導入細胞の遺伝子発現解析などの結果から、テロメラーゼ導入細胞はゲノム恒常性維持能力が高いことが推定された。テロメラーゼを発現している正常細胞である幹細胞は、増殖能力を長期に維持しつつも、癌化に対して抵抗性を付与されることが必要であり、ゲノム恒常性維持を高く保つ性質の一端をテロメラーゼが担っている可能性が伺われる。これらの結果は、幹細胞の性質、癌細胞の性質を明らかにする上で極めて重要であると考える。
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