研究概要 |
リボソーム再生因子のクローニング、大量発現系の構築並びに精製系の確立をおこない、E.coli, V.parahaemolyticus, P.aeruginosa, T.maritima, T, thrmophilus, A.aeolicus由来RRFについて、^<13>C,^<15>N等の安定同位体で標識した試料を大量調製する系を確立した。続いて、多核多次元NMR法によってNMRシグナルの帰属を行い、上記のRRFについて主鎖原子の帰属を完了することができた。また、RRF阻害剤の設計に応用することを目的とし、NMRによるRRFの分子内運動の解析を行ったところ、RRFに特異的なドメイン運動がRRFの活性と相関していることを示す結果が得られた。このことはRRFのドメイン運動を抑制する低分子化合物によってRRFを阻害できる可能性を示している。さらにRRFの変異体を用いた相互作用実験並びにRRF-リボソーム複合体のクライオ電子顕微鏡解析を行い、RRFとリボソームの相互作用部位について多くの知見を得たほか、RRFの部分フラグメントとリボソームの相互作用解析を行い、リボソーム結合に必要十分なRRFの構造を明らかにした。上記の成果を応用したRRF阻害剤の合理的設計のため、新たにE.coli由来RRF変異体及びV.parahaemolyticus由来RRFについてX線結晶構造解析によってその立体構造を決定した。立体構造に基き、その阻害剤候補をコンピューターを利用したデータベースからのバーチャルスクリーニングによって選別した。安定同位体標識したRRFと得られたライブラリー分子群との相互作用をNMR(緩和フィルター法と拡散フィルター法による候補分子の選別、及び飽和移動法とHSQC法を用いた結合部位の同定)によって検出することを試みた結果、RRFとの相互作用を示唆する分子が得られた。これらNMRスクリーニング系を評価するため、RRF阻害活性を簡便にin vivo及びin vitroで検出できる系を設計し、実際に使用可能なことを確認した。
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