研究課題/領域番号 |
14370760
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医薬分子機能学
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
矢守 隆夫 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター・分子薬理部, 部長 (60200854)
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研究分担者 |
有國 尚 住商バイオサイエンス株式会社, 横浜研究所, 所長(研究職)
旦 慎吾 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター・分子薬理部, 研究員 (70332202)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
2003年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2002年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | バイオマーカー / がんマーカー / 抗癌剤感受 / 蛋白質発現 / プロテインチップ / プロテオミクス / 診断治療 / 癌化学療法 / 抗癌剤感受性 / 抗がん剤感受性マーカー / サロゲートマーカー / プロテオーム / 創薬ターゲット / がん化学療法 |
研究概要 |
癌の診断・治療において新しいバイオマーカーの発見は重要である。我々はこれまでに、肺、胃、大腸など8臓器由来39種のヒト培養癌細胞株からなる"癌細胞パネル"を樹立し、これら細胞株について薬剤感受性、遺伝子発現などを調べ、統合データベースを構築し、癌の分子薬理に関する有用情報獲得に用いてきた。本研究では、SELDIプロテインチップシステム(Ciphergen)により39種の癌細胞株における蛋白質発現プロフィルを調べ、新しいバイオマーカーの解析を行った。成果を以下に要約する。 1.癌細胞パネルの蛋白質発現プロフィルの分析から、大腸癌株のみに11970Daの蛋白質が発現していることを見出し、これをProthymosin α(PT-α)と同定した。PT-αは、酸性核蛋白質で細胞増殖やアポトーシスへの関与が示唆されているが、その機能は不明である。 2.抗PT-α抗体を作成し、免疫組織学的にその発現を臨床大腸癌材料で調べた。正常大腸粘膜より腺腫の方がPT-αを強く発現し、腺腫より癌組織の方がさらに強く発現していた。この観察は、PT-αが癌マーカー候補であることを初めて示すものである。今後、症例数を追加してPT-αの発現を癌組織と血中レベルで測定することによりPT-αが癌マーカーとなりうるかの検証へ、また、癌におけるその機能を解明し治療の分子標的となるかの検討へ発展させたい。 3.抗癌剤感受性マーカー発見のため、抗癌剤により癌細胞内でおこる蛋白質発現変化を解析した。ヒト肺癌NCI-H226細胞に対するTaxol、Cisplatin、SN38など9種類の抗癌剤の影響を見た。様々な変化の中から、薬特異的に発現変化する蛋白質、すなわち抗癌剤感受性マーカー候補の検出に成功した。今後これらの同定を行い、その抗癌剤感受性マーカーとしての有用性検証ならびに機能解析研究に発展させたい。 以上より、癌細胞パネルを利用したプロテインチップ解析は、癌マーカー、抗癌剤感受性マーカーなどのバイオマーカー発見の新しい方法論として有望である。今後、診断・治療の開発研究に活用したい。
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