研究課題/領域番号 |
14370789
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
片岡 泰文 福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
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研究分担者 |
高橋 三津雄 福岡大学, 薬学部, 教授 (70299543)
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 助手 (90341453)
丹羽 正美 長崎大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20136641)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2002年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
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キーワード | 免疫抑制薬 / シクロスポリン / タクロリムス / 中枢毒性 / 血液脳関門 / NO / TGF-β / 遺伝子多型 / 一酸化窒素 / ペリサイト / 時間治療 / GABA受容体 / 肝移植患者 / P-糖蛋白質関連遺伝子 |
研究概要 |
免疫抑制薬、cyclosporine A (CsA)およびtacrolimus (TCL)は、腎・肝移植や骨髄移植における拒絶反応の抑制に欠くことの出来ない薬剤である。また、近年では乾癬、リウマチ、ネフローゼなどの自己免疫疾患の治療にも試用・応用され、その適応疾患も拡大しつつある。これら薬物治療下では、過量投与による重篤な副作用の発現を防ぐため、血中濃度を測定し薬物治療を設計するTDM (therapeutic drug monitoring)が実施さる。しかしながら治療濃度域においても中枢毒性(振戦、けいれん、脳症)は20-40%発現する。CsA、TCLは血液脳関門(BBB)のtight junctionやP糖蛋白質(P-gp)により脳内への移行は制限されている。「CsA/TCLは治療域血中濃度でBBBを通過するのだろうか?」。本申請者は免疫抑制薬による中枢性有害作用の初期過程としてBBB機能障害が発現する可能性および中枢毒性易発症因子とその関連遺伝子を明らかにするため、基礎・臨床研究に着手した。 1.生体肝移植患者におけるTCLの中枢性有害作用発現とP-gpをコードするABCB1 (MDR1)遺伝子多型との関連性が明らかとなった。すなわち、ABCB1 (MDR1)遺伝子のexon 21にあるG2677[A,T]は中枢毒性発現の危険因子である可能性が高い。 2.BBBは脳血管内皮細胞、アストロサイトおよびペリサイトから構成されている。脳血管内皮細胞とアストロサイトもしくペリサイトを共培養すると、BBBのtight functionおよびP-gp排出機能が促進された。特に、ペリサイトはtransforming growth factor-β (TGF-β)産生を促進することによりBBB機能を亢進させることが判った。BBB構成細胞存在下でCsAのBBB機能に対する作用を調べた。その結果、CsAは、アストロサイトのNO産生を増加させ、またペリサイトのTGF-β産生を低下させることにより、BBB機能障害を増悪させることが判明した。 3.TCLによるharmine誘発振戦の増悪作用は活動期投与で低減したが、免疫抑制作用には変化なかった。実験時間治療学的には、TCLの最適投与タイミングは活動期であろう。 以上、アストロサイト産生NOの増加およびペリサイト産生TGF-β減少によるBBB機能破綻は、免疫抑制薬の脳移行性を増大させ、これは中枢毒性発現に連結するものと考えられる。また、ABCB1遺伝子変異はBBB機能低下を増幅するため免疫抑制薬の中枢毒性が発現しやすい可能性も提示された。
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