配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
|
研究概要 |
β_2アゴニストの一つであるclenbuterol(4-amino-α(t-butyl aminomethyl)-3,5-dichlorobenzylalcohol)および合成グルココルチコイドの一っであるdexamethasone(dexamethasone 21-phosphate disodium salt)を用いてラットに投与した際のergogenic効果とそのメカニズムを明確にするため、ergogenic効果に関連するグルコース、トリグリセリド、総コレステロールなどのエネルギー基質、血糖調節ホルモンのインスリン、細胞内セカンドメッセンジャーのサイクリックAMPの血漿内レベルの動態と用量-応答関係を検討した。併せてclenbuterolをラットに10日間投与(dose=1mg/kg BW/day)したとき、10日間身体懸垂(whole body suspension: WBS)および身体を固定したとき(immobilization: IMM)、総白血球(total white blood cells),好中球(neutrophil),好酸球(eosinophil),好塩基球(basophil),リンパ球(lymphocytes)および単球(monocyte)の数が如何に変動するかを検討すると共に、これらのデータを相互に比較・検討した。その結果、clenbuterolをラットに投与(dose=10,50,500,1000μg)投与すると、血漿内のグルコース、トリグリセリド、総コレステロール、インスリンおよび全血液量に対する血漿量の割合[血漿容量比(plasma volume ratio): PVR]は投与量の増加にほぼ比例して明らかに上昇したが、血漿内のサイクリックAMP濃度は投与量に関係なく有意な変動がみられなかった。特にPVRはclenbuterolの投与量が高くなると著明に高くなり、他の薬物が投与されたとき明らかに希釈される効果がみられること、即ちclenbuterolには薬物のマスキング効果(Masking effect)のあることが明確となった。また、clenbuterolを1mg/kg BW/dayのdoseで10日間連続投与すると、好中球と単球の数が有意に増加したが、好酸球、好塩基球、リンパ球は明らかに低下していたが、総白血球数には有意な変動がみられなかった。また、WBSとIMMを10日間負荷すると総白血球、好酸球および好塩基球の数が有意に増加し、リンパ球の数が変動しなかった。これらの応答はclenbuterol投与では明らかに認められなかった。また、β_2アゴニスト投与の結果と同様に好中球と単級の数はWBSとIMMの負荷で有意に増加した。これらの結果から、β_2アゴニスト投与に特異的な免疫応答特性があること、WBSとIMMのように身体運動を何らかの方法で制限すると自律神経活動以外の免疫応答が惹起される可能性が高いものと推定できる。
|