配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2002年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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研究概要 |
重度・重複障害児の多くは「訪問教育」の対象となっている.近年のさらなる障害の重度・重複化と教育要求の多様化に対応するために,訪問教育を支援し得る内容と方法に関する検討が必要である.本研究では最重度事例への縦断的かかわりをとおして,指導法と遠隔教育の有効性について実践的検討を試みた. 1.最重度事例の場合,働きかけに対する反応を誘発することが極めて困難である.それぞれの障害特徴を踏まえたうえで,意図的に感覚間相互作用と感覚運動統合を促す指導を早期から継続することによって,応答的行動の増加や場面・状況に対応した発声の分化が認められた.また,多くの事例で言語的働きかけの理解に関する評価が困難であるが,NIRS指標の導入によって成文と非文に対する反応に差異がみられるなど,より詳細な発達評価とそれにもとづく指導法の策定に有効な知見が得られた. 2.重度・重複障害児が教師から受ける教育は時間的に少なく,また他の人々とのコミュニケーションの機会が極めて制約されている.このような「訪問教育」制度の欠陥を補うひとつの方法として近年急速に進歩しているインターネットを介した対話システムの活用が考えられる.諸条件を検討し,整備したうえで,ひとりの事例を対象にしてこの方式を導入し半年間にわたる実践的検討を試みた.導入の当初は教師主導のかかわりであったが,次第にはたらきかけに対する能動的反応が観察されるようになり,相互交渉も持続的になった.さらに,日常生活場面での対面コミュニケーションへも効果が波及し,事例自らがおこす行動的変化を契機にしたやり取りが可能になった.在宅あるいは入院という生活環境下の対人交渉における量的制約を緩和し,コミュニケーション機能を促進ためのひとつの方法として,インターネットを介した対話システムの導入が有効である.
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