配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2002年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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研究概要 |
情報技術の発展にともなって、世界規模で市民の意識・行動の変化が、社会制度に追いつかない現象が頻発している。一方で、実践的な応用システム・工学システムの普及は著しい。この現実と理論のギャップの解決は次世代情報社会実現への焦眉の課題である。本研究では、豊富な内部状態をもつ個体(ソフトウェアエージェント)から構成される粒度の比較的大きい分散協調型システムのための計算モデル「組織計算理論」を構築し、あわせて、その有用性を実規模の問題に適用することで実証することを目的とする。 本研究の研究成果は以下のようにまとめられる。まず、エージェント・ベース・モデリング(Agent-Based Modeling ; ABM)に関する知見の整理である。これは、ABMのもつボトムアップ的なモデル化の必要性とミクロ・マクロリンクによって創発する現象の分析、ならびにシミュレーション結果の妥当性などについて検討を進めた(Terano,2nd Symposium on the 21st-Century COE Program : Creation of Agent-Based Social System Sciences(Tokyo Institute of Technology)2005:寺野,計測と制御,Vol.43,No.12,2004)ほか。第二に、ABMの国内外への普及と国際会議の主催がある。本領域に関連する国際会議(Pacific Asian Association for Agent-based social systems sciences)を発足させ、代表を務めている。また、本領域の重要なテキストを出版・翻訳するとともに(「複雑系組織論」寺野訳,ダイヤモンド社,2003;「対立と強調の科学」寺野監訳,ダイヤモンド社,2003)、さまざまな国際会議を開催してきた。 第三に、各種シミュレーションモデルの実現がある。これは、社会・経済のさまざまな分野において既存理論と実際に発生する現象との間を埋め、組織・社会的な問題に新たな知見を与えうるモデルを実現した. 今後の課題としては、大規模シミュレーションに向けた課題の発掘と同定がある。社会・経済・組識システムのモデル化、設計・分析にむけては、さらに大規模なシミュレーション技術の開発が必要である。
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