研究分担者 |
今井 亮 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90223304)
中西 哲也 九州大学, 総合研究博物館, 助教授 (50315115)
本村 慶信 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (20037237)
田口 幸洋 福岡大学, 理学部, 教授 (00108771)
曽 南石 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20294887)
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配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2002年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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研究概要 |
岩石学的なモニタリングの手法によるケーススタディの1つとして、雲仙火山1990-1991年および九重火山1995年初期噴火活動に加え、1980年5月18日に山体崩壊や大規模なプリニアン式噴火を引き起こしたセントヘレンズ火山の活動において,プリニアン噴火以前(約2ヶ月前)の噴出物中に本質物が含まれているかどうか再検討を行った.1980年3月28日〜4月16日に噴出した火山灰を用い,それら噴出物中に微少量含まれている発泡ガラスを比重選別し、マイクロFTIRを用いて水分量を,EPMAを用いて化学組成をそれぞれ測定した.分析の結果1980年3月28日に噴出した火山灰からのみ微小で綺麗な球形の気泡を持った発泡ガラスを検出した.マイクロFTIRを用いた水分量測定では,加熱過程での発泡ガラス中のOH基とH2O分子との比の変化に注目し,二次的なハイドレーションを受けていない新鮮な試料を用いて基礎実験を行った.その結果,新鮮なガラスではH2O/OHの値はゆっくりと減少していくのに対して,古いガラスではその値が200℃前後で急激に減少した,続いて検出した発泡ガラスについても同様の実験を行った.その結果,1980年3月28日に噴出した発泡ガラスを新鮮なガラスと同様の挙動を示すもの(グループA)と古いガラスと同様の挙動を示すもの(グループB)に分けることが出来た.EPMAを用いた化学組成を測定では,検出した発泡ガラスの組成値と1980年5月18日以降に噴出したパミスやドーム中のガラス及び火道を構成していると考えられる1980年より前に噴出したガラスの組成値とを比較すると,グループAに属する発泡ガラスの組成は山体崩壊直後の1980年5月18日及び25日に噴出したパミス中のガラスの組成と近い値を示し,更に,1980年より前に噴出したほとんどのガラスとは異なる化学組成を示した,以上のことから今回検出した発泡ガラスの中でもグループAに属するものは1980年噴火活動における本質物である可能性が非常に高い. 各ステージの本質ガラスを分析することによりマグマ過程の予測が可能となり、これらの結果に基づき火山災害を軽減する方策を検討したが、この点についてはまだ十分な成果を得ていない。
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