研究課題/領域番号 |
14380250
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内海 博司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20025646)
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研究分担者 |
立花 章 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (20188262)
安平 進士 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (90311729)
田野 恵三 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00183468)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2003年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
2002年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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キーワード | ニワトリ細胞株 / DNA二重鎖切断 / 相同組換え修復 / 低線量率照射 / 非相同端末結合修復 / low dose rate effects |
研究概要 |
低線量率照射は、線量を多分割照射する極限状態と考えられ、その傷害修復には分割照射回復機構が働いていると推論されてきた。DNA二重鎖切断の修復系には誤りのないHR(相同組換)修復系とG_1/G_0期に働く誤りがちなNHEJ(非相同端末結合)修復系の二種類あること、分割照射回復は、HR修復系であることが明らかにされた。これまでの常識からは、低線量率照射には分割照射回復機構によることが予想され、誤りの無いHR修復系が働くことになる。この常識が正しいかどうかを確かめることが、本研究課題の目的である。 本研究に、主に4種のニワトリBリンパ細胞株{親株(DT40)、DNA二重鎖切断修復の相同組換(HR)修復系に関与するRad54遺伝子をノックアウトした細胞株(RAD54^<-/->)、非相同的末端連結(NHEJ)修復系のKu70遺伝子をノックアウトした細胞株(KU70^<-/->)と、この両遺伝子をダブルノックアウトした細胞株(KU70^<-/->/RAD54^<-/->)}を用いた。線源は高線量率照射線源として京都大学原子炉実験所の150kVp X-線発生装置を、また低線量・低線量率照射線源として、京都大学放射線生物研究センターの低線量率長期照射実験装置を用いた。この4種類のニワトリBリンパ細胞株を用いて、低線量率(1Gy/day=6.9×10^<-4>Gy/min)γ線照射の研究を繰り返し行い、どのノックアウト細胞が低線量率で生存率が増加するのかしないのかを高線量率(1Gy/min)照射での生存率と比較検討した。約1Gy/dayの低線量率で照射し、細胞数の増加への影響・細胞死の影響を観察した。結果は、ダブルノックアウト細胞は1Gy/minと1Gy/dayでの生存率曲線が全く同じとなり、電離放射線による細胞死の主因がDSBであることを示唆した。NHEJ修復系の無い細胞(KU70^<-/->及びKU70^<-/->/RAD54^<-/->細胞)では、低線量率照射で生存率の上昇が見られなかった。これまでの常識とは異なり、低線量率照射の影響は分割照射回復の極限状態ではなかった。そこで、DNAPKcsをノックアウト細胞でも検討したが、少なくとも1Gy/dayでは、NHEJ修復系が重要であることを確かめた。
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