配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2004年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2003年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2002年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
|
研究概要 |
放射線の被曝線量と発がんリスクを評価するために,放射線高感受性マウスの開発とゲノム障害・修復蛋白質を利用した分子バイオドシメトリーの開発を行った。 1.エイムス試験の原理による放射線に高感度なマウスモニター系の開発 放射線に高感度なマウスを開発する為に,誤りがちな修復をする損傷乗り越えDNA合成遺伝子mRev1を過剰発現したトランスジェニックマウス(Rev1マウス)を作成した。遺伝子発現の制御が可能なメタロチオネインプロモーターを用いて7系の独立したRev1トランスジェニックマウスを得た。これらマウスの各臓器よりmRNAを取り出し,mRev1トランスジーンの発現をRT-PCR法で確認した。その結果,各臓器でのユビキタスな発現を認めた。また,蛋白質の発現をWestern法,及び免疫組織化学で検討し,小腸での誘導可能な発現を認めた。一方,Rev1トランスジェニックマウスのT細胞を用いた放射線誘発のTCR突然変異頻度は,対照群に比べ高い傾向を認めた。 2.低線量放射線の分子バイオドシメトリー法の開発 分子バイオドシメトリー法の開発を目指し,二重鎖切断部位で定量的にドットとして蛍光染色出来る蛋白質としてヒストンH2AXに注目し,H2AX蛋白質複合体の精製と機能解析を行った。HeLa培養細胞にクローニングしたマウスH2AXをレトロウイルスを用いて導入し,安定形質株を樹立した。この細胞株より核分画を調整し,核抽出分画およびクロマチン分画においてH2AX複合体を精製した。H2AXを標識することにより2重鎖切断後のH2AX複合体の動態を解析した。その結果,H2AX複合体はゲノム損傷部位で高度に動的な状態にあることが判明した。このH2AXの動態は,損傷後のリン酸化とは関係なくモノユビキチン化に依存しており,このユビキチン化は,TIP60ヒストン・アセチラーゼによるアセチル化により制御されていた。このH2AX複合体の動態は,ゲノム損傷後の細胞応答での初期過程に重要であり,損傷部位での修復蛋白質等のリクルートやその安定化に重要な役割をなすと推定された。
|