研究課題
基盤研究(B)
化学物質による地盤汚染に対し、微生物を用いた原位置バイオレメディエーション技術の開発が待望されている。しかし、原位置バイオレメディエーションで必要不可欠な、地下地盤における分解微生物の分布・移動・活性の把握とその制御に関する知見は非常に少なく、大きな研究課題となっている。そこで本研究では、1)深度数メートルまでの地盤微生物群集の解析、2)微生物移動性の解析法の確立を集中的に研究し、原位置バイオレメディエーション技術の基礎的知見を得ることを目指した。1)地下地盤の微生物群集解析 昨年解析した黄色台地土に加え、河川土および海岸土でコアーをとり、その物理化学的環境、微生物群集構造、腐植、各種有機物の微生物分解活性、各種微生物群の分布を測定し、物理化学的パラメータと微生物群集の動態との相関関係を解析した。地下地盤環境の違いによらず微生物群構造が比較的似通っていることを明らかにした。2)ライシメータを用いた油汚染模擬試験 野外ライシメータを利用して油汚染の自然減衰試験を行った。トルエン等の単環芳香族炭化水素を含むドデカン溶液を調合しモデル油とした。油の遺漏を想定し野外ライシメータで油汚染を起こし、その後の油の揮発、浸出から微生物分解を推定した。不飽和条件下では、比較的に分解速度は高いが、それでも濃度の非常に高い部位には1年以上油が残留した。油濃度変化と微生物群集構造変化の対応関係を調べたところ、油濃度の増加に伴い微生物量も増加し、分解菌と思われる微生物群集の特異的増加が観察された。油濃度の減少に伴い、もともとの微生物群集構造に戻った。3)微生物の移動性の解析法確立 分解菌を導入するバイオオーギュメンテーションを想定し、分解微生物の地下地盤へ導入した際の移動性モデル試験を、川砂微生物を用いて行った。流速の高い時は、流出微生物数と土壌懸濁物量には正の相関が見られたが、低流速の場合は相関が見られなかった。このことから、流速によって流出する微生物の状態、即ち、土粒子に付着した微生物と浮遊した微生物の割合、が異なることが示唆された。微生物のサイズ分布が流速によって異なることも明らかとなった。
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