研究課題/領域番号 |
14380335
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森 和俊 京大, 生命科学研究科, 助教授 (70182194)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
16,200千円 (直接経費: 16,200千円)
2003年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
2002年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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キーワード | 小胞体 / 膜結合性転写因子 / 分子シャペロン / プロテオリシス / セリンプロテアーゼ / メタロプロテアーゼ / 細胞内輸送 / フォールディング |
研究概要 |
ATF6は、小胞体に埋め込まれた形で恒常的に発現している膜結合性転写因子であり、小胞体ストレス下で小胞体内に高次構造の異常なタンパク質が蓄積するとプロテオリシスを受けて活性化される。つまり、切断されて膜から遊離した細胞質側の転写因子ドメインが核へ移行して主として小胞体シャペロンをコードする遺伝子の転写を促進する。この結果、誘導された小胞体シャペロンの作用により小胞体内の恒常性が維持される。 これまでにATF6の切断がセリンプロテアーゼ阻害剤AEBSFにより阻害されることを見いだしていたが、他のグループにより、ATF6はゴルジ装置に存在するS1P(セリンプロテアーゼ)とS2P(メタロプロテアーゼ)による連続的な切断を受けて活性化されることが報告された。これは、ATF6が小胞体ストレスに応答して小胞体からゴルジ装置へ移行することを意味している。また一般に、高次構造の異常なタンパク質は小胞体に留められていると考えられている。 そこで、小胞体ストレス下でATF6は異常タンパク質とは選別されて輸送されるのかどうか明らかにするために、まず小胞体ストレスに応答して小胞体からゴルジ装置へ移行するATF6と緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質GFP-ATF6を作成した。折り畳み状況をモニターする基質として、温度感受性のウィルス糖タンパク質VSV-Gtsを解析した。VSV-Gtsは39℃では折り畳まれないために小胞体内に蓄積するが、32℃にすると折り畳まれてゴルジ装置を経て細胞表面に到達した。このときGFP-ATF6は39℃、32℃ともに小胞体に局在したままであった。39℃から32℃に温度を下げるときに、1mMのジチオスレイトールを投与して小胞体ストレスを与えると、GFP-ATF6は小胞体からゴルジ装置へと輸送されたが、VSV-Gtsの場合は折り畳みが阻害されて、小胞体に留まったままであった。 以上の結果から、ATF6と高次構造の異常なタンパク質との選別が確かに行われていることが実証された。今後は、この選別の仕組みを明らかにしていきたいと考えている。
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