研究課題/領域番号 |
14380344
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
嶋村 健児 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70301140)
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研究分担者 |
小林 大介 熊本大学, 発生医学研究センター, 助手 (00363507)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2003年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
2002年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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キーワード | 神経上皮細胞 / 神経幹細胞 / 細胞系譜 / 遺伝子発現 / 細胞移動 / 領域特異性 / 神経核 / 視床 |
研究概要 |
本研究の目的は、脊椎動物の脳組織を構成する神経細胞の細胞系譜を解析し、幹細胞である陣形上皮細胞における起源を明らかにしようというものである。本研究期間において、視床神経核形成に焦点を絞り、視床神経核を構成する細胞の形質決定機構と、特異的細胞移動による神経核形成機構について明らかにした。主にニワトリ胚を用いた実験発生学的手法により解析を行い、必要に応じノックアウトマウス、及びラット組織を併用した。その結果、(1)基板から分泌されるソニックヘジホッグシグナルの強さと、シグナル伝達のエフェクターであるGli転写因子群の組み合わせにより、特定の形質をもつ神経細胞が視床原基の特定の部位に誕生すること、(2)誕生した神経細胞集団は特徴的な移動により、最終的に神経核が形成される部位に至ること、(3)そのような移動能は、神経細胞の形質と視床原基の局所的環境に依存すること、を明らかにした。次に、このような移動経路を制御する環境要因について検討をおこなった。上記の神経細胞は背側視床と腹側視床の境界であるzona limitans intrathalamica (Zli)に沿って移動するが、Zliの細胞は通常の神経上皮細胞と異なり、軟膜でend feetを形成せず、直角に方向転換して神経細胞の移動経路に沿って長い突起を伸ばしていることを見いだした。さらに、Zliではソニックヘジホッグが発現しているが、少なくとも培養環境下では、移動能をもつ神経細胞に対して誘因物質として作用することが示された。以上の結果から、限局した移動経路を利用するために、神経細胞は限定された部位に誕生することが必要であり、また同じ部位に由来する神経細胞であっても、移動経路に沿って異なった分布をとることにより、神経核の立体的な配置に寄与するものと考察された。これは視床原基上の二次元パターンを視床の三次元パターンに変換する重要なしくみであろうと推察される。以上の結果は論文にまとめ、投稿準備中である。
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