研究課題/領域番号 |
14380363
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
上田 健治 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 主任研究員 (90261180)
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研究分担者 |
吉井 光信 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 参事研究員 (60091047)
相澤 貴子 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (40415542)
久永 真一 (久永 真市) 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (20181092)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2002年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | NAC / NACP / Lewy小体 / Parkinson / Alzheimer / MAP / ロテノン / tubulin / Synuclein / 神経変性 / 細胞毒性 |
研究概要 |
α-Synuclein(aS)は、Alzheimer病(AD)脳のSDS不溶性成分の分析から未知分子として見出されたNAC(mon-Aβ component)の前駆体蛋白質NACP(NAC precursor)としてcDNAクローニングにより同定された(Ueda et al.1993)。aSが多量に発現している脳領域と、ADやParkinson病(PD)脳の神経病理の分布部位とが酷似することから、aSが多量に細胞内に存在することがADやPD脳の神経病理の分布を規定する可能性がある。aSは生理的にはシナプス前に多く存在し、aSの変異や機能異常、又は代謝異常がシナプスの機能異常や変性を来し、その事が認知症やparkinsonismに直接繋がる可能性がある。シナプスの脱落は初期AD脳で既に顕在化しており、我々は先ずAD脳において変性神経突起とシナプス終末にaSが異常に蓄積している事を報告した。今では、弧発性、家族性AD脳共に約60%がaS病理を呈する事が知られている。他方、シナプスの変性脱落は神経細胞死に先立つことがin vitro系で示されている。一方、aS遺伝子の変異が優性遺伝性の早発型PDやLewy小体型認知症(DLB)を引き起す原因である事実が判明した。我々は、PDやDLBの主病理であるLewy小体(LB)やLewy-related neurites(LN)の異常繊維構造はaSである事、多系統萎縮症(MSA)の細胞内異常繊維構造もaSが主成分である事を示した。他方、in vitro系でaSは自身で繊維形成することが実証された。これらを踏まえ、脳内環境でのaS分子の凝集開始から繊維形成促進因子の同定を進め、チューブリンがその因子の一つである可能性を実験的に証明した。さらに、精製したチューブリンがaSにより重合促進され微小管を形成することを示し、aSの生理機能の一つが機能的MAPである可能性を示唆した。DLB脳27例を対象として、病態の進行をLBとLNの出現を指標として検討し、Lewy(aS)病理は神経細胞内では先ず軸索終末で形成され出し、次に細胞体に及び最後に神経突起に進む事を示唆した。大脳皮質での進行では先ず第V-VI層、次にIII層、最後にII層に進む。そして、脳領域では先ず扁桃核、次に辺縁系、最後に新皮質に及ぶ。ヒト由来ドーパミン神経細胞培養株内にaSを過剰発現させ、LB様の封入体を形成させた。培養ドーパミン神経細胞にaSを過剰発現するとチロシン水酸化酵素(TH)の発現減少がみられた事から、aSはTHの発現抑制をする可能性を示唆した。この細胞に酸化的ストレスを与えると内在性aSが細胞質から核内に移動し、C末端部位が核内に残る事を見出した。
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