研究課題/領域番号 |
14390016
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木下 直之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30292858)
|
研究分担者 |
佐藤 健二 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (50162425)
姜 雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (00334269)
月村 辰雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)
高野 彰 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (50337474)
尾関 幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (10361552)
松原 龍一 独立行政法人国立博物館, 京都国立近代美術館, 主任研究官 (40270491)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2002年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
|
キーワード | 亀井茲明 / 亀井茲監 / 亀井コレクション / 津和野藩 / 亀井温故館 / 松ヶ崎萬長 / 亀井文庫 / 日清戦争従軍写真 / 亀井茲藍 / 写真史 / 華族史 / 日清戦争 / 染織史 / 明治期留学史 |
研究概要 |
写真・絵画・書物・染織など多領域にわたるがゆえに、これまでは断片的にしか研究されて来なかった亀井茲明のコレクションを、島根県津和野町の亀井温故館の協力を得て、一次資料に即し、総合的に調査・分析しようとした本研究の目的はおおむね達成された。写真に関しては、ベルリン留学期に撮影された写真を整理し、撮影技術の習得過程を明らかにした。絵画に関しては、ロンドン留学期のルネサンス絵画の模写、ベルリン大学での美学美術史研究、帰国後の美術家との交遊関係などを明らかにした。書物に関しては、東京大学附属図書館亀井文庫の内容を分析するとともに、ドイツにおける入手経路などを追跡した。染織のみ、その数が膨大なため、全体像を把握するにとどまった。 また、本研究は、このコレクションを形成した亀井茲明像その人の解明にもつなげることができた。亀井の活動には、大きくふたつの背景がある。ひとつは明治維新に思想面・宗教面から寄与した旧津和野藩の当主としての立場で、華族として、近代国家建設に貢献しようとする強い義務感、もうひとつは、公家という出自に由来する可能性があるが、文化への強い関心である。ベルリン留学から帰国した1890年代は、憲法発布に象徴されるように、日本が近代国家の体裁を整え始めた時期に当たり、美術の世界でも、明治初期以来の西洋志向とその反動である国粋主義との緊張関係の中で、新たな美術像が求められていた。亀井はそこに積極的に関与しようとしたが、病のために、志は半ばで終った。 亀井茲明の周辺の人物、養父である旧津和野藩主亀井茲監、西周、実兄である建築家松ヶ崎萬長、東京の官庁集中計画に従事した建築家エンデとベックマン、彫刻家内藤陽三、画家高橋源吉らとの交遊関係を明らかにすることで、日独文化交流史の一面を浮彫りにすることもできた。 研究成果の一端は、島根県立美術館で開かれた「伯爵カメラマン亀井茲明展」(2004年10月8日〜11月28日)で示され、成果報告書では、未紹介の写真資料の公開に努めた。
|