配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
2004年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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研究概要 |
感情障害の病態として、1)細胞内Ca^<2+>関連遺伝子異常→2)ストレスによる細胞内情報伝達関連遺伝子の修飾→3)細胞内Ca^<2+>動員亢進→4)Emotional Neuroplasticityの異常→5)感情制御機構の破綻→6)感情障害の発症という過程を想定して研究を行った。 1.ストレスとEmotional Neuroplastisityの関連に関する検討 情動記憶の形成に重要な海馬での神経可塑性に関与する、神経栄養因子群の母子分離による発現の変化及び母子分離負荷後の成熟期拘束ストレスによる発現の変化を解明した。その結果、母子分離のみではNGF,BDNF,GDNF,NT-3,IGF,IGFR,IGFBP2発現に変化はなかったが、母子分離+成熟期拘束ストレスによってGDNF,NGF,IGFR1,IGFBP2の各mRNA発現で有意な減少がみられていた。このような結果は、母子分離によって成長後のストレスに対する反応性が正常発育群とは異なっていることが推測され、乳幼児期の不遇な体験に伴うストレス脆弱性の分子機序となっている可能性が示唆された。 2.ストレス動物における細胞内情報伝関連遺伝子変異の検討 PTSDモデルラットであるSingle Prolonged Stress (SPS)負荷ラットを用いて、恐怖条件付け試験によるcontextual freezing (CF)の変化とそれに伴う海馬遺伝子発現を検討した。その結果、SPS負荷ラットは非ストレス負荷群と比べてCFの有意な延長を示していた。同時にマイクロアレイによる遺伝子発現解析から、海馬VAMP2発現の有意な亢進が検出され、SPS負荷ラットでのCFの延長に密接に関与している可能性が示唆された。 3.情動ストレスに対するEmotional Neuroplasticityに関する脳機能画像研究 本研究は、健常者および感情調節制御機構の障害されたモデルとしてうつ病患者を対象として、情動ストレスに対する神経可塑的変化の差異を、Sensory gating systemを指標としてMEGを用いて明らかにすることを目的とした。その結果、うつ病患者ではストレス認知の最初の段階であるSensory gating systemにおいて異なる感覚入力調節が行われており、その成因としてemotional neuroplasticityの関与が伺われた。また、これらのうつ病患者で認められた感情制御機構の破綻が感情障害の発症要因としてストレス脆弱性に密接に関連しているものと考えられた。
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