配分額 *注記 |
8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
|
研究概要 |
左右反転視野に長期間さらされることによる視覚運動協応と視空間知覚の適応過程を,ヒトおよびサルで調べた. ヒトの実験では,数名の被験者に左右反転眼鏡を37日間連続着用してもらう実験を1年に1度,計3回おこない,認知心理学と神経科学の手法を用いて適応過程を測定し,以下の結果を得た.(1)頭を動かしても視野が揺れて感じないという位置の恒常性は,左右反転眼鏡着用により崩壊したが,視野の動揺感は徐々に減少し,マグニチュード推定法では着用10日間くらいで動揺感が消失,頭の上下動と左右の運動で視野動揺感に差があるかどうかをたずねた方法では,20日目までに上下と左右の差がなくなった.(2)視覚ターゲットに手でリーチングする課題では,着用10日ほどで,正確さ・速さとも,着用前のレベルに回復した.(3)第1次視覚野を選択的に活動させる刺激を用い,右または左の半視野に呈示した刺激に対する脳活動をfMRIで調べた結果,通常みられる対側第1次視覚野の活動に加え,同側の活動が出現することが10人中7人で確認された.この同側活動が出現した時期は,着用3-7週間であり,他の行動課題との関係から,どの被験者でも,同側活動出現前に,視覚と体性感覚との再編がおこっていた.また,その過程で,同側第2次視覚野の活動も観察された. サルを用いた実験では,幼児と大人の適応過程の差異を観察するために,左右反転眼鏡を生後6ヶ月で離乳直後の2頭の子ザルに着用させ,行動を観察した.大人のサルやヒトは着用開始時に困惑し,活動性が低下するのに対して,幼児ザルは着用開始直後からよく動き,視野の変換を大して苦にする様子をみせなかったことが,この実験での特筆すべき結果であった.
|