研究課題/領域番号 |
14401010
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
三浦 敦 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (60261872)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | 協同組合 / 農村開発 / 小規模金融 / 資源利用 / 所有関係 / 家計戦略 / 東南アジア習慣法 / フィリピン / 所有 / 階層的人間関係 / 農村金融 / 農村信用活動 / 世帯戦略 / マイクロファイナンス / 公共財 / 社会開発 |
研究概要 |
研究は、農村開発において協同組合が果たしている実際の機能と、そしてしばしば協同組合開発が失敗する原因を、フィリピン共和国ボホール州の農村協同組合のアンケートを中心とした経営学的調査とインタビューを中心とした人類学的調査によって明らかにしていくことを目的とする。3年間の調査の結果としては、次のことが明らかになった。 ・ボホールの農村協同組合の多くは信用活動を基本的な柱としているが、その多くは経営に失敗している。 ・実際には協同組合の信用活動は、政府からの資金を組合員や職員に流すパイプとしての役割を持つが、その際、政府からの資金はあたかもオープンアクセス資源のように使われてしまうため、資金の回収のめどが立たなくなってしまっている。 ・このような事態は、決して組合員の規律が乱れているから起きるのではなく、むしろ協同組合が個々の組合員の家計戦略と合致しない経営をしていることに由来する。そしてこのような結果を招く組合員や組合役員の行動は、数百年前から連綿と続いている東南アジア海域特有の所有関係や人間関係を色濃く反映している。協同組合から資金を変えている農民たちは、その資金を生産に投資することなく日々の必要にお金を費やしていっているのである。 ・このような状況においては、ヨーロッパの協同組合を理想とするような協同組合運動は必ずしも実効的なものとはなり得ない。また、マイクロファイナンスもそれほど大きな力にはなり得ない。東南アジアの人間関係の特質を考慮した協同組合の設計が不可欠である。その際、歴史に根ざした農民たちの資源利用のあり方の理解は一つのカギとなると思われる。
|