研究分担者 |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
磯崎 行雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90144914)
浜野 洋三 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90011709)
永原 裕子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80172550)
大河内 直彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (00281832)
KIRSCHVINK J. L. 東京大学, 大学院・理学(系)研究科(研究院), 教授 (10345259)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2004年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2003年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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研究概要 |
本研究課題では,原生代初期に形成されたヒューロニアン累層群(カナダ・オンタリオ州)の地質調査を3年間にわたって行い,露頭試料及び掘削コア試料の採取とそれらの化学分析を行った.比較のため,同時期に形成されたトランスバール累層群(南アフリカ共和国)及びスノーウィパス累層群(アメリカ合衆国)の調査も行った. まず,無機炭素の同位体比分析を行った結果,ブルース層(氷河性堆積物)を覆うエスパニョーラ層(炭酸塩岩)の最下部付近で-7.7〜-5.5‰という軽い値が得られた.これはキャップカーボネートの特徴と類似している.一方,スノーウィパス累層群ナッシュフォーク層からは+26‰という異常に大きな値が得られた.これは嫌気的環境下でのメタン生成かアセチルCoA経路による炭素固定を反映していると可能性が考えられる. 次に,硫黄同位体の質量非依存性分別効果(MIF)を調べたところ,ヒューロニアン累層群を通じて顕著なMIFはみられないことが判明した.このことは,24.5億年前にはすでに酸素濃度が現在の10^<-5>程度に達していたことを示唆する. さらに,ゴウガンダ層付近のマンガン含有量を調べたところ,ダイアミクタイト直上にバックグラウンドの約60倍の濃度(1.7wt%)でマンガンが濃集していることを発見した.そのすぐ下にはヘマタイトを含む赤色岩が存在することも分かった.ゴウガンダ氷河期直後に酸素濃度が増加した可能性が示唆される.南アフリカ共和国のマクガニン・ダイアミクタイト層とゴウガンダ層の形成年代は誤差の範囲で一致(約22.2億年前)し,どちらもその直後に鉄・マンガンが濃集していることから,これらは当時のグローバル・イベント(全球凍結と酸素濃度増加イベント)を反映したものであると考えられる. このほか,岩石試料の古地磁気測定,潮汐堆積物の解析,炭素循環モデル及び気候モデルを用いた理論的考察なども行った.
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