配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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研究概要 |
自然地震では震源に到達することが非常に困難であるから,震源の物性や環境に関する直接情報は非常に貴重である。南アフリカ金鉱山の地下約2〜3kmでは,断層付近で採掘が行われると活発な地震活動が誘発され,M>2の地震が頻発する.縦横に走る坑道はこれらの断層を複数箇所で貫通しているため,その岩石物性や応力などの環境を,地震発生前に直接観測できる.断層直近のdrillingによって現場応力測定を行い,また,得られたコアの室内実験によって応力測定・物性試験も行う.さらに,地震発生後に,断層すべり量等を測ることができるように,坑道壁面の断層の記載を事前に行う.なお,期間中にDrillingを行う鉱山以外でM>4の地震が発生した場合は,現地調査を行う.そして,震源域の物性と環境,地震発生を比較議論するのが計画であった. 2002〜2004年度までの3年間に,5つの鉱山で,起こると予想される,あるいは,実際に起こった2<M<4の地震の震源を地下1.4〜3.6kmで直接観察した。一つの震源域(地下2.9km)では,地震発生準備からM2級の地震発生に至るまでの約半年間,週に2〜3度ずつ坑内で観察し,その中で応力解放法による応力測定を試みた.高応力による孔崩れや坑壁の大変形のためにオーバーコアリングに失敗したり,ドリリング・コア非常に緻密でほぼ完全弾性体的挙動を示したためドリリング・コアを用いた応力測定結果の解釈が容易ではなかったりした.しかし,破壊基準を超えたところのみが数日以内に非弾性的に降伏し,その周囲が弾性的ななかで地震発生に至る姿を目の当たりにすることができた.2つの鉱山で発生したM4級の2つの地震滑り現場(地表下1.4kmおよび約2km)の断層岩を解析した結果,摩擦溶融の証拠は得られなかった.現地の鉱山岩石技師・地質技師が"シュードタキライト"と称している地質断層の断層岩は,固結しているカタクレーサイトであることが判明した.
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