研究概要 |
ITS(高度交通情報システム)の発展に伴い,この10年間の間で多くの国々で多くのシステムが実装されるに至っている.ITSが交通状況にどのような影響を及ぼしているのか,その評価を行うことは非常に重要であり,また,興味深い研究テーマとなる.特に,利用者への高度情報提供システムはITSの代表的なシステムの1つであり,道路ネットワーク上における情報提供が利用者に与える影響を評価することはより研究すべき課題であるといえる.このような効果は道路ネットワークの特性,たとえば幾何的な構造など,に依存すると考えられる. この研究プロジェクトでは,道路ネットワークにおけるドライバーの行動変化の効果を測定する基本的ツールを開発することを目指した.この研究の成果としては,「旅行時間収集技術」「利用者の行動特性の解析理論および手法」「道路ネットワークシミュレーションモデル」が含まれる.移動体コミュニケーションデバイスやコンピュータによる調査手法を用いてどのように詳細な調査データを収集するかについて議論された.これらのデータを活かすため,データマイニング手法を含むデータオリエンテッド手法による利用者の交通行動のモデルについて研究された.また,交通行動および交通流の理論的研究をベースとし,ミクロ的な交通ネットワークシミュレーションモデルを開発した.そしてそれを用いて情報提供がおよぼす影響について推測を行った. この研究の成果により,異なった特性を持つネットワークにおける情報提供システムの影響を比較することが可能になる.また,情報提供システムの国際標準を策定する助けになることも期待される.情報提供システムの効果についてより一般的な理解を得るためには,より異なった国々でのより異なったケースにおける分析を行うことが必要であろう.
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