研究課題/領域番号 |
14405002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 登志彦 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (80183094)
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研究分担者 |
隅田 明洋 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50293551)
小野 清美 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50344502)
曽根 敏雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222077)
本間 航介 新潟大学, 農学部, 助教授 (50323960)
山縣 耕太郎 上越教育大学, 地理学, 助手 (80239855)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2004年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2002年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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キーワード | 北方林 / 環境ストレス / 森林動態 / 光合成 / クロロフィル蛍光 / 遷移 / 繁殖戦略 / 生存戦略 / カムチャツカ / 森林火災 / 森林更新 / シラカバ / カラマツ / 実生 / 萌芽 / ハイマツ / 永久凍土 / ミズゴケ |
研究概要 |
ロシア連邦カムチャツカ半島中央部低地帯において、シラカバ(Betula platyphylla)とカラマツ(Larix cajanderi)を対象とし、遷移段階が異なる3つの森林に3〜5年前に設定した調査地において再調査を行った。 シラカバとカラマツの実生ともに発芽はコケ類マットや倒木上などのマイクロサイトに限定された。カラマツの実生は異なる遷移段階においても実生密度に増減はなかった。カラマツはシラカバよりも実生密度が低かったが、異なる遷移段階においても安定した実生数を維持し、また遷移段階が進むにつれて成木の優占度が高くなることからも、カムチャツカの森林においては遷移初期から後期まで安定的に個体群を維持する能力があると考えられる。光合成速度は、カラマツのほうがシラカバよりも若干高かった。クロロフィル蛍光の測定の結果、低温・乾燥で増幅され,る光ストレスによる光合成系の損傷(光傷害)の程度は、カラマツのほうがシラカバよりも低かった。カラマツは、シラカバに比べて光傷害を回避するシステム(熱放散や活性酸素消去系が考えられる)を発達させており、その結果この地域での遷移後期の優占種となっていることが示唆された。 シラカバは遷移段階が進むにつれて、実生密度が低くなった。シラカバはカラマツよりも多数の種子を生産しているが、林内ではシラカバ実生の枯死率は高かった。しかし、土壌や林冠の大規模な撹乱後の侵入には多数の種子を生産するシラカバは有利であると考えられる。また、被陰によるストレスや母樹の枯死などにより、種子生産ができなくなった'揚合には、実生と比べて成長に有利な萌芽を形成することで個体群を維持している。シラカバの実生と萌芽という二つの戦略を同時にとることは低温、乾燥、森林火災による大規模撹乱など、厳しい環境のカムチャツカ半島においては特に遷移初期で有利な生存戦略だと考えられる。
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