研究課題/領域番号 |
14405006
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井鷺 裕司 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50325130)
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研究分担者 |
出口 博則 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60117017)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
2004年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 種分化 / オーストラリア / 適応放散 / 隔離分布 / 系統関係 / 進化 / 系統地理 / Livistona / Amitermes / バンテン / 国際研究者交流 / ヤシ科 / ビロウ属 |
研究概要 |
オーストラリアの独自の生物相は、数千万年オーダーで続いている他大陸からの孤立、数百万年前から始まった現在のオーストラリア大陸を特徴づける乾燥化、数万年前のアボリジニの到達とそれに伴うfire regimeの変化、数百年前の西洋人による入植と生物の持ち込み、といった複層的に起こった各種イベントに影響を受けている。これらのイベントがオーストラリアに生育する各種生物に与えた影響を、異なった歴史性と適応様式もつ生物を研究対象として複数の分子生物学的手法を用いて解析した。 オーストラリアに生育するビロウ属植物のすべてを3年をかけて採集し、その系統関係について分子データと分布状況をもとに解析を行った。その結果、オーストラリアに生育するビロウ属植物は単系統であり、祖先がオーストラリアに到達した直後に種分化と多様な環境への適応放散がほぼ同時に起こったことが推測された。 オーストラリアで知られるシロアリAmitermis laurensisについては種内の各系統間の遺伝距離とそれらの分布域間の地理的距離の関係は現在の分布域のみからは説明ができず、数万年前に海水面が現在よりも低かった時代の地理的構造が現在の遺伝構造に影響を持つことが明らかになった。また、現在集団開花を行っているタケついても遺伝分析を行い、その由来について解析を行った。 東南アジア原産の野生ウシ、バンテンは現在絶滅が危惧されており、その個体数は最大で5000頭程度と考えられている。オーストラリアにはインドネシアのバリから持ち込まれた一群が数千頭オーダーで生存している。この世界最大級の個体群の遺伝的特性について解析し、この個体群が家畜ウシとは交雑していない純粋なものであり、生物保全上きわめて重要な個体群であることを明らかにするとともに、オーストラリアの一部の地域を一種のサンクチュアリとして利用することに関して提案を行った。
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