研究課題
基盤研究(B)
1.タケ開花枯死後dbh5cm以上の樹木の胸高断面積合計・本数密度には、大きな変化は見られなかった。タケの枯死後、新規加入速度は増加したが、死亡速度も高かった。山火事による稚樹の死亡が、更新を阻害した大きな要因と考えられる。一方、タケの回復速度は速く、また山火事にたいする抵抗力も高いため、10年程度でほぼ成熟段階に達している。実生供給の年変動、地表火による実生の死亡、タケ実生との競争などが、1回のタケ開花枯死イベントでの樹木の更新の成功の阻害要因となっている。2.タケの開花は成熟株では同調して起こり、ほとんどの株が枯死することが明らかになった。ただし被圧株は、開花・枯死せず、内的サイクルと同時に、外的要因に起因する資源状態なども、稈のデモグラフィーと開花現象に影響することが示唆された。共存する4種のタケのデモグラフィーと優占度には、一斉開花・枯死後の実生の定着以外に、他種の一斉開花・枯死による光環境の変動による被圧個体の解放が関与していることが明らかになった。3.落葉混交林(MDF)を構成する樹木6種の実生の成長速度と生残率は、いずれも閉鎖林冠下に比べ、タケの存在しないギャップ内で高かった。しかし、斜面下部に分布し、ほぼ常緑のDipterocarpus2種は、閉鎖林冠下でも比較的高い生残率を維持し、乾期における給水は有意に生残率を高めた。また、両者の実生は、地表火の後、すべて死亡した。対照的に、落葉性の4種は、地表下の後でも多くが萌芽によって再生した。また、ギャップ内では、閉鎖林冠下に比べ、実生の乾期の生残率と地表火を受けた後の生残率が高かった。ギャップ内の実生はで閉鎖林冠下よりも地下部へのアロケーションが大きく、火事後の萌芽能力を支えていると考えられた。
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