研究課題/領域番号 |
14405024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
有江 力 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00211706)
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研究分担者 |
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 講師 (00183343)
寺岡 徹 東京農工大学, 農学部, 教授 (60163903)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2003年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
2002年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
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キーワード | 植物病原菌 / 子嚢菌 / トマト / Fusarium oxysporum / 分子系統解析 / 共進化 / チリ / 萎凋病 / 子のう菌 / Alternaria alternata / Magnaporthe grisea / 分子進化学的解析 / チリ;アメリカ |
研究概要 |
本研究の目的は、フィールド調査等で収集する植物病原菌に対して分子系統学的アプローチで病原性進化の道筋を想定し、「いつ・どこで宿主植物に対する病原性を獲得」し、「それ以降現在までどのようにして病原性を進化させてきたか」を考察することである。そのため、主にトマト萎凋病菌-トマト系を対象に研究を遂行し、以下の成果を得た。 トマト原産地であるチリ北部で2度(2002年12月および2004年3月)のフィールド調査を実施、自生野生種トマト属植物を採集、輸入、それより650余株の糸状菌(植物体上に生息していたものと考えられる)を分離、同定、解析を進めた。2002年の調査で得た約250菌株の、形態学的、分子生物学的手法を併用した同定は終了した。そのうち、F.oxysporum16菌株について、トマトに対する病原性検定を行ったところ、病原性を有する株は認められなかった。2004年の調査で得た約400菌株については現在同定中である。 国内、米国、中国、欧州等で採集あるいは研究者等の協力を得て収集したトマト萎菌凋病菌F.oxysporum f.sp.lycopersici菌株について系統解析を行った。その結果、世界的に3つの系統が存在すること、各系統内で病原性分化が起きていること、宿主植物(種子等と推測される)の移動によりダイナミックに病原菌も移動していること、最近わが国へ新系統であるレース3が侵入していること、などを明らかにした。 2002年度の調査で分離したトマトに病原性を持たないF.oxysporum菌株について、分子系統解析を行った。大変興味深いことに、野生種トマト属植物から分離した菌株は、トマト萎菌凋病菌に近縁であることが判明した。これは、トマト萎菌凋病菌の祖先型である病原性を持たない菌が、野生トマトに定着していることを示唆するものであり、トマト-萎凋病菌の共進化を強く示唆した。
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