研究課題/領域番号 |
14405037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 昇 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (50093307)
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研究分担者 |
山村 則男 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (70124815)
和田 英太郎 海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 生態系変動予測プログラムディレクター (40013578)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2004年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2002年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | オーバーグレイジング / 農耕地化 / アルカリ土壌化 / 森林更新 / 水循環 / 種多様性 / 生産性 / 伝統的遊牧 / 土壌のアルカリ化 / 林内遊牧 / 草原の生産力 / グレイジング耐性植物 / 蒸発散 / アルカリ化土壌 / 放棄農地 / 市場経済化 / グレイジング / 土壌塩類 / 裸地化 |
研究概要 |
モンゴルでは、近年、ヤギを主とする家畜の増加、遊牧民の都市集中によるオーバーグレイジングと定住化、農耕地化と放棄、林内遊牧などが進行し、一千年以上続いてきた伝統的遊牧の様式と草原の利用状況が急激に変化した。家畜のオーバーグレイジングや農耕によって、森林が成立する地帯であっても、土壌がアルカリ化し、グレイジング耐性植物が長く優占して草原が牧畜利用に適さなくなる。一方、遊牧による住居の季節単位の移住や年単位の移動は、一時的定住によるオーバーグレイジングからの草原の回復を容易にし、大型のグレイジング耐性植物の優占を防止する。オーバーグレイジングに至らないまでの適度の家畜のグレイジングは草原の生物多様性と生産力を上昇させる。谷と斜面の刈り取り高を変えた実験では、植物の生長が良い谷筋ではウシ・ウマに対応する高い刈り取りで、草高の低い斜面ではヒツジ・ヤギに対応する低い刈り取りで植物の年生産が高くなり、ヒツジ・ヤギを斜面に、ウシ・ウマを谷筋に誘導するという、伝統的な遊牧方式が草原の生産力を高めていることが確かめられた。また、グレイジング耐性植物が摂食植物に混在することは土壌の乾燥化を妨げ、草原の生産力を保つというプラスの作用のあることが分かった。草原に接した森林の樹齢構成を調べると、どの森林も樹齢がすべて数十年以上で、近年は森林が全く更新していない。これは家畜のグレイジングによるもので、数十年前には森林が更新できたのであり、近年の林内遊牧によるものと思われる。森林の存在は草原の水循環にとって重要であり、このまま森林が消失していくと、草原の乾燥化が促進される恐れが高い。草原植物の種多様性を高めるような、家畜のグレイジング圧を適度に維持した遊牧がモンゴルの自然環境に適合した産業として千年以上に持続してきていることが明らかになった。
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