研究課題
基盤研究(B)
グリーンランド東岸のIttoqqortoormiitにおけるホッキョクグマの捕獲のためノルウエーオスロ大学のR.Blomhoff博士と詳細な打ち合わせをおこない、宿舎、研究室の準備、およびヘリコプターを含む交通手段、食料の確保など、ロジスティックの手配は完了した。比較対象研究として今までにノルウエー領スバールバル群島(北緯80°)においての国際共同研究で得られた、ホッキョクグマの全身の器官のビタミンAを解析した。十分な準備を整えた上で平成16年7月から8月にかけてグリーンランド東岸にあるIttoqqortoormiit(デンマーク語ではScorebysund)を基地として、現地のイヌイットハンターの協力を得て、ホッキョクグマを捕獲した。捕獲したホッキョクグマはすべてオスで、体重は500kg(1)、および350kg(2)、250kg(3)、100kg(4)であった。なお、この期間に総数18匹のホッキョクグマを確認したが、子グマとその母グマは捕獲禁止となっているため14頭はその生態の観察のみにとどめた。捕獲した4頭のホッキョクグマの肝臓は直ちに形態学的方法で解析した。ビタミンAを貯蔵している肝臓星細胞を特異的に検出するには塩化金法とビタミンAの自家蛍光を観察するための蛍光顕微鏡がもっともすぐれた方法である。これらの方法にはともに新鮮な試料を必要とするため、凍結ミクロトームと蛍光顕微鏡(Zeiss)を現地に輸送し設置して用いた。肝臓の重さはそれぞれ7.7kg(1)、および5.6kg(2)、4.5kg(3)、2.0kg(4)であった。塩化金法では赤い背景に黒く染まった星細胞が多数観察された。年齢10歳以上(老齢)の(1)では巨大なビタミンA脂質滴がたいてい細胞質に1つ存在していた。蛍光顕微鏡観察でも塩化金法の所見に対応して、巨大な球形のビタミンA脂質滴が観察された。いっぽう、体重100kgの若い(1-2歳)個体(4)では、塩化金法ではやはり赤い背景に黒く染まった星細胞が観察されたが、塩化金反応の大きさは高齢の個体のそれに比較してはるかに小さかった。やはりビタミンA脂質滴が細胞質に1つ存在しており、蛍光顕微鏡観察でもやはり塩化金法の所見に対応して、ビタミンA脂質滴は高齢の個体のそれに比較してはるかに小さかった。以上の所見はホッキョクグマでは年齢とともに肝臓星細胞に貯蔵されるビタミンAは増加していくことを示しており、これら蓄積されるビタミンAは食物連鎖を通じて摂取され貯蔵されることが示唆された。
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