研究課題/領域番号 |
14510064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
内田 正博 (2003) 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10151888)
岡田 暁生 (2002) 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (70243136)
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研究分担者 |
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (70243136)
藤野 一夫 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (20219033)
三木原 浩 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (70116177)
伊東 信宏 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (20221773)
内田 正博 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10151888)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | メロドラマ / シャンソン / 楽劇 / オペレッタ / オペラ / 映画音楽 / マイヤーベーア / サロン音楽 / マイヤベーア |
研究概要 |
「メロドラマ」とは、フランス革命以後パリで大流行し始め、19世紀を通してヨーロッパ全土で繁栄を極めた大衆演劇の一ジャンルであり、三単一の法則に従った古典劇の基準から見れば、筋立ては支離滅裂、文学的格調にも欠けるが、手に汗握るサスペンスと大冒険とお涙頂戴の恋物語が効果的に配されていて、常に大衆を惹きつけてやまない。そのメロドラマの劇作法の基本パターンを抽出し、オペラやオペレッタへの影響を解明するのが本研究であり、その所期の研究は以下に見るように達成された。 1、岡田は、2度の海外渡航(ミュンヘンの国立図書館及びチューリッヒ中央図書館)により、グランド・オペラ上演関係資料並びにフランス19世紀音楽雑誌資料を調達した上で、メロドラマの劇作法の基本パターンを確立したスクリーブの台本執筆によるマイヤーベーアの『ユグノー教徒』に着目しメロドラマ的音楽の形式分析のためのカテゴリーを提示し、所謂「グランド・オペラ」とはロマンチックな悲恋と壮大なスペクタクルを盛り込んだ波乱万丈の歴史ロマン以外のなにものでもないことを明らかにした。 2、伊東は、オペレッタとメロドラマの劇作術の並行関係に着目し、両者とも涙腺を刺激する感傷的な情動効果を糧とするが、この通俗化されたロマンチシズムにこそ、19世紀の大衆芸術を理解する鍵があると結論づける。具体例としてレハールの『ジプシーの恋』を取り上げ、ロマンチックな情趣を醸す仕掛けとしての「恋と異国情緒」の劇的・音楽的表現法を、楽曲分析を通して解明した。 3、藤野は、メロドラマ的劇作術を、スクリーブの台本、オーベール作曲の『ポルティチのもの言わぬ娘』に援用し、そこに見られるメロドラマ的なものと政治的なものとの隠微な関係に着目し、近代ヨーロッパの芸術と社会とが、いかにメロドラマ的構造に相互依存してきたかの隠された一面を鮮明した。 4、三木原は、19世紀後半に作詩作曲された古典的シャンソン『さくらんぼの実る頃』をバックグランド・ミュージックにするジャック・ベッケル監督の映画『カスク・ドール』を取り上げ、この映画が、歌詞だけでなく、場面の随所に施されたメロドラマ的仕掛けから成り立っていることを明らかにした。 5、内田は、「メロドラマ」=「メロディ+ドラマ」という言葉の本来の意味を再確認した上で、その概念が19世紀を通し次第に「劇形式」から「劇内容」に、音楽から演劇へと比重を増していく様を明らかにし、20世紀の映写技術の到来と共に、メロドラマの主役舞台が映画に取って代わられた必然を証明した。
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