研究課題/領域番号 |
14510074
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美術史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10212226)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | マネ / ファンタン=ラトゥール / フランス絵画 / 芸術家像 / 第二帝政 / 肖像画 / アトリエ / 第二帝政期 |
研究概要 |
第二帝政期の芸術家像という問題に対して、(1)「オマージュ、マニフェスト」、(2)「ボヘミアン芸術家像」、(3)「肖像画」、(4)「アトリエ」という4つの視点からアプローチした。 (1)に関しては、ファンタン=ラトゥールの集団肖像画《ドラクロワへのオマージュ》(1864)、と《乾杯(真実へのオマージュ)》(1865)について徹底的に調査し、芸術家集団肖像画としての特質を主題と造形の両面から分析した。画家ドラクロワや、「真実」の寓意像に対する礼讃というテーマを通して、ポスト・レアリストとしての美学的な主張が成されている点を浮き彫りにできた。(2)に関しては、ルノワールの《アントニー小母さんの酒場》(1866)とマネの《芸術家》(1875)を取り上げた。「ボヘミアン芸術家」という19世紀に特有の芸術家像を、田園のボヘミアンの例としてルノワールの作品を、都市のボヘミアンの例としてマネの作品を、当時の批評の調査と図像学的なアプローチによって分析した。(3)に関しては、画家たちの自画像とカロリュス=デュランの《ファンタン=ラトゥールとウルヴェイ》、さらにファンタンの《マネの肖像》(1867)を詳しく調査した。前者においては発想源の問題を通じてルーヴル美術館所蔵作品との関係を明らかにすることができ、後者においてはアカデミスムに対するマネの非妥協的な態度を反映した肖像画であることが論証できた。(4)に関しては、バジールの《ラ・コンダミンヌ通りのアトリエ》(1870)とファンタンの《バティニョール街のアトリエ》(1870)を取り上げ、西洋絵画におけるアトリエ図像の系譜を踏まえた上で、親密なアトリエ空間の表象と虚構の集団肖像画という2点のアトリエ画の性格の違いを比較検討した。 このように、重要な四つの問題系を扱うことで、第二帝政期のフランス絵画における芸術家像の意味を考察し、近代絵画史の文脈における意義を明確にし得た。
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