研究課題/領域番号 |
14510116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
戸田 まり 北海道教育大学, 教育学部・札幌校, 助教授 (80192855)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 自己制御 / 自己主張 / 自己抑制 / 幼児期 / 幼児 / 保育者 / 親 / 評定 |
研究概要 |
14年度に幼稚園に通う3歳〜6歳児396名について、担任の保育者および親の双方から自己抑制的、あるいは自己主張的な行動の出現や頻度について評定を求めたが、15年度にも当該幼稚園在園中の201名に対し、同様の評定を求めた。14年度調査における横断的データと、14年度、15年度にまたがる縦断的データとを比較したところ、その年その年のコホートの特徴が大きく、横断的研究だけで結論を出すことの危険性が指摘された。先行研究及び今回の2年にわたるデータを総合すると、保育者評定を用いた場合、自己主張は特に3歳から4歳にかけて大きく伸び、5歳以降はある程度落ち着くのが一般的な姿ではないかと考えられる。自己抑制についても3歳から4歳(年少から年中)にかけての伸びが大きく、他者(保育者)から見るとこの時期に自己制御全般が変化することがうかがえた。また本研究でも自己抑制では一貫して女児が高いという性差が見られたが、これは多くの先行研究と一致した結果であり、一般に幼児期の自己抑制は女児が高いのではないかと示唆された。この性差が文化的なものなのか、それとも脳発達などの性差がかかわるものなのかは本研究を含めこれまでの知見からだけでは結論できず、今後の検討を要する。年代的な変化については評定値そのものにはさほど変化がなかった。ただしこれも評定者の基準自体が社会的変化によって変わっている可能性がある。 保育者自身は、自己をコントロールすることの中に、適切に自己を抑制した上で自己主張を行うという意味を含めて考えていることが明らかになった。子ども本人に対して葛藤場面を用意し、実験状況の中での自己制御を観察した結果からも、適切な自己抑制の上に自己主張が成り立っていることが示された。今後は自己主張と自己抑制を独立して検討するのではなく、相互に関連しながら発達するメカニズムの解明を目指すべきと思われる。
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